「十月大歌舞伎 第二部」

「双蝶々曲輪日記 角力場」。八月、九月に引き続き四部制、座席販売も一席おきを維持。勘九郎さんが白鸚さんと共演される第二部を拝見しました。コンスタントにかかる演目だし、勘九郎さんは中村座で同役をおやりになったことがあるけど、私が拝見するのは初です!

勘九郎さんは与五郎と放駒長吉の二役で、ちがったタイプのかわいさを堪能できるし、また今回は濡髪の白鸚さんという、どーん!とでかい存在感にあたっていく役どころなので、兄なのになぜか弟みを出させると輝く勘九郎さんの良さを満喫できたなあと。声もいい調子。いつだって勘九郎さんの声の調子を気にしている私だ。

以下は演目とは直接関係ありませんが、興行側としてもいったんバッタリ倒れた後の興行リハビリ期間という意味合いがこの3か月というもの続いているんだと思うし、座席販売だけでなく演目の組み方も役者の組み合わせも文字通り試行錯誤なんだろう、ということは勿論理解しています。が、しかしそれにしても入ってなかった。客が。興行側も倒れたが観客も少なからず倒れているので、「習慣としての観劇」を続けていた層を取り戻すことの道のりの遠さを感じます。今のスタイルでは、幕見を一等席で見ているような感覚がどこかにあって、良いだろうと思うものを見に行ってやっぱりよかった、という安心感はあるが、ワンダー(驚異)がない。客足をもう一度惹きつけるには、こういう時でなければ絶対に見られない顔合わせ、演目、それぐらいのカンフル剤が必要かもしれないなと思いました。