「くちずさめば恋歌」  Cカンパニープロデュース

前回公演「夜明けの花火」が超良かっただけにどうしても格オチの感は否めないけど、それでも、好きなのにうまくいかないオトナの恋愛を描いていて、うーんなるほど、と納得させられてしまいました。ここはナマの人間勘定を描かせたら天下一品ですね。なんかオトナの劇団、って感じがします。

石丸さんと長野さんが全編にわたってお得意のダンスを披露、タップから群舞まで、魅せてくれました。お金持ちのお嬢で世間知らずの女の子と、貧乏ばっかりが続く男の子の、お互いよかれと思うことが裏目裏目に出てしまうという破局のパターンで、特に長野さん演じる女の子の余りの無邪気さというか無神経さは、あーー気持ちわかるけどそれやっちゃいけねえだろう的な行動ばかりで、悪気がない分始末に負えないというのはおそらく現実にも転がってる話だと思う。でも、彼のことが好きという気持ち一本でつないでるという表現が切なくて、第三舞台では決して見せない長野さんの涙は心に焼き付いてます。2人は結局、出直したけど、あれからどうなったのかな、なんて考えたりもする。人間の理屈じゃないウェットな部分を見事に描いていました。