「贋作・罪と罰」  NODA・MAP

野田MAPの旗揚げ公演「キル」を海外旅行中で観れなかったので(ビデオのみ)、実質初お目見え。芝居とはまったく関係ないけど、ちょうど第三舞台の大阪公演と重なって、下の近小で第三舞台、上で遊眠社ならぬ野田MAPという昔夢に見た取り合わせが実現。実は私が見に行った回の「パレード〜」に野田さんと生瀬さんと山西さんが来ていて「うっわああ〜〜!!!」(野田さんも第三舞台観るんだ!という驚きも含む)という感じでした。しかも第三メンバーの筧さんが野田MAPで主役はっているという・・・昔なら考えられん状況やなあ。

※再演が決定したので、以下は文字色変えておきます(2005.07.28)

しかし筧さんが野田さんの舞台に呼ばれるというのは嬉しい驚き。いやー、立派になって、と思う。芝居の主役自体は大竹しのぶさんなんだけど、ハッキリ言ってそれよりもイイ役をもらっていて二度びっくり。脚本の方は、原作の「罪と罰」の筋立てをそのままで、舞台を幕末に置き換えてあるだけでセリフも重要なものは原作にあるものだった(後で知ったんだけど)。冒頭から、船を漕ぐ音、戸を叩く音などの効果音を全て役者さんが舞台上でやっていて面白かったなあ。あれは見た目以上に練習が必要だとみたが。ストーリー自体は要約してしまうと、目的のために手段を選ばない、ということの是非、つまり高尚な人間は高尚な目的のために下等な人間を殺しても良いかということなんですが、それを認めない側を筧さんがやっていて、本当にうまいなあと思いました。中でも英に対して「そしてお前の汚した大地に接吻しなさい」というところなぞ、筧さんの真摯な個性を生かしていて良かったと思う。

他にも警部役をやった生瀬さんが響き渡らんばかりの美声で「この事件、左官屋じゃない!」と英を追いつめるシーンなんか迫力満点、やっぱこの人好みだわ〜。父親役の吹越さんや梅垣さん、山西さんも好演、あ、もちろん大竹さんも。ただ平栗さんと野田さんのシーンが二人のセリフのテンポが合ってなかったような・・・?ラストで、刺客に殺されて足許に横たわる竜馬の前で「ヒトゴロシがこんなことをいうのはおかしいかもしれないけど、愛しています」と手紙を読む英と、二人に降り積もる雪が切なくて切なくて、あー、やっぱり野田さんだなあと思えて、嬉しかった。

吹越さんは実は筧さんを殺す役だったんですよねえ(笑)素晴らしいキャストで、素晴らしい舞台だったと思うなあ。同じ劇場の上と下で野田さんのと鴻上さんのを見れるって、スッゴイゴージャス感ですよねえ!全国探してもここぐらいだと思いますよ。