「蠅取り紙」 自転車キンクリートSTORE

この「蠅取り紙」は再演なんだけど、初演時の評判が高かったので今回の関西公演は嬉しい。もちろんじてキンと言えば2幕3時間。しかし不思議なことにここの2幕3時間は飽きないわー。今回も最初がちょっと躓いたんだけど、3人姉妹の一人づつがトイレに立つスキに他の二人がもう一人のうわさ話をするあたりから(これが人物紹介にもなってるんだよなあ)俄然のめり込めてきたし、前半のクライマックス、ハワイにいるはずの母親が障子のうしろにぼーっと浮かび上がるとこなんか確かに真夏の夜の怪談話!って感じで思わず鳥肌が立っちゃいました。

母親が生き霊となって帰ってきちゃったことで、各々が自分の来し方行く末を見つめ直すんだけどそれぞれが悩んだ末に自分なりのポジティブなやり方を見つけてそれを母親に報告し合うシーンは、こちらの気持ちまで前向きになる力があるようで素晴らしかったと思う。中でも30近くにもなって彼氏もできない長女の「幽霊の電話」の話はよかった。演じた柳岡さんも最高。亡くなった前の奥さんとのエピソードを語る久松さんも切なかったし・・・。ほんと、飯島&鈴木両女史は小劇場界からスタートしながら、最近独自の「やり方」を見つけたみたいでどの公演もレベル高い。劇団がどんどん解散していく中「自転車キンクリート」の名前を失わずにこれからも頑張って欲しいです。

この後どんどんすごくなっちゃって鈴木裕美さんはもう売れっ子演出家になられましたなあ。この頃ホントにこの飯島&鈴木コンビは「これだけで一生食っていける」ぐらいの名作を叩き出してましたよね。