「ビューティフル・サンデイ」  Show Case

  • 俳優座劇場   A列5番
  • 作  中谷まゆみ   演出  板垣恭一

ちゃんと舞台の居方を知っているいい役者がいい芝居をして,落ち着いた演出にいい脚本にいい音楽。これでいい芝居にならないわけないんだよな。ほんと。だからもう書くこともあんまりなかったりするんだよな。なーんて。

物語は男同士が同居生活しているところに,いきなり以前の住人だと名乗る女の子が転がり込んでくる,一種のシュチュエーションコメディではあるんだけど,コメディとしての印象はあまり強くなかったです。全然笑えない,とかではなくむしろ四六時中笑いっぱではあったんですが,それよりも物語のシリアスな部分,ひとがひとを真剣に思うときの優しさや切なさやつらさや,そういった感情の表現がすごく心に残る芝居でした。ストーリー的には甘いところもあるしファンタジーでもあるんだけど,それが決して嘘臭くなくて,なんとも心を打つ物語になっていたと思います。

転がり込んでくる女の子を演じた長野さんはもうキュートな魅力全開,長野さんの持ち味を思う存分発揮している感じでした。キュートでファニーな笑顔から一転,真摯に別れた恋人のことを語るときの落ち着いた迫力,やっぱうまいなぁ。小須田さんは役柄的にいつもクールな立場が多いんですけど,今回はもう怒鳴るわ焦るわ慌てふためくわ落ち込むわ,38の男性に言う言葉ではないですがほんとカワイかったっス(笑)。素朴な衣装でこれまた可愛さ倍増(笑)。しっかしカワイイといいながらも激昂するとものすごい迫力ですね,相変わらず。場を圧倒してました。堺さんは初見だったんですけれども,男前!顔キレイ!声いい!芝居うまい!もう言うこと無しでございます。というかね,芝居見てる間あ,この人うまい,とかそういうことを考えさせる隙すら与えてなかったというか。もう当然のように物語にはまっていて見事の一語でした。

あたしは降らしものというやつに非常に弱くてデスね,雪とか花吹雪とかそういうのが降ってきただけでもう涙腺全開なんですけど,今回も最後の星にはやられました・・・・・・「星が降っても別れない」なんて切なすぎるじゃないかよもぅぅ。つか言われてみてぇよマジで!(笑)

シビアで知られるえんげきのページの一行レビューで、上演当時ほぼ全ての評価が★★★か★★★★をつけていたのが印象的。再演もされましたが、初演版の方が好きかな。中谷まゆみさんの脚本&板垣さんの演出は、これ以来ゴールデンコンビ。