「オケピ!」

ミレニアム前半の話題を「キレイ」と共にかっさらった作品でしたな。まあ、何しろ、キャストが凄い。凄すぎて書ききれん(笑)。そしてそのキャストの凄さに伴って、チケット争奪戦大大大激戦でした。あたしだって立ち見だもん。それだって「定価で見れるだけマシ」ぐらいな状況でしたからね。一時YAHOOのオークションで1枚3万から5万の値がついてました。

三谷さん初めてのミュージカルだった訳ですが、オーケストラピットといういわば舞台裏にスポットを当てている、と聞けば思い出すのは「ショー・マスト・ゴー・オン」。そういう意味では非常に三谷さんらしい、ホームグラウンドに戻って勝負ぐらいの作品だったかなと。いつもより舞台上の混乱を抑えめにして、歌を聴かせるツクリにはなっていましたが。

三谷さんの作品はいつも、出てくる人間がものすごく一癖も二癖もある人ばかりで、大抵ふつうの「いいやつ」なんていうのは出てこない。今回だって、リードを削ってばかりの神経質なオーボエ奏者、ハープ奏者の恋の行方ばかりが気になるコンダクター、間違えてばっかりいるピアノ、いろんな男を誤解させまくっているハープ。こんな奴ら、ひととこに置いといて事件が起きないわけがないと言わんばかりの面々。でも必ずね、出てくる人達みんないつも「ちょっとだけ」幸せになるんですよね。いろんっっっな事件あって、伏線あって、だけど最後には必ずみんな「ちょっとだけ」前を向いて終われる芝居。そんなの創れるのって、もう桁違いの才能だと思うんだよな。やっぱ三谷幸喜凄すぎる。

今回はミュージカルって事で、ミュージカル嫌いの私は大丈夫かなーとか思っていたところもあったんですが、全然平気でした(笑)個人的には2曲目の「彼らは、それぞれの問題を抱えて演奏する」と4曲目「くたばれミュージカル」、そしてなんと言っても布施さんの「オーボエ奏者の特別な一日」が好きです。だってさぁ・・・・布施さん歌うますぎるんだもん・・・泣いたっつーの、マジで。歌うまいで言えばファゴット北川潤さん。キャラクター的には結構おまぬけさんだったけど「俺たちはサルじゃない」で歌ったときビックリした、上手すぎて。プロフィール見たら声楽出身の方なんですねー。上手いわけだ。

役者さんはね、もうとにかくみんな当たり前に上手いんで(笑)、いちいち言ってたらキリないぐらいです。中でも私がハートを鷲掴みされたのはサックスの白井晃さん♪ステキ〜〜!!!なんなのそのエッチくさい衣装〜〜!!!しかも万能だしーー!ちょっと、目が釘付けになっちゃいましたね、てへ。真田さんは狂言回しの役でもあるんでほんとに喋りっぱだったんですが、あれだけ喋って滑舌がおちない、踊った後で息が切れない、体のキレは言わずもがな、ホント感服つかまつりました。ヴィオラの小林さんも好きだなーーー。小林さんて、実はものすごいタップの名手なんですよー。ちょっと拝見できて、嬉しかったです。松たかこさんも、あんな歌うまいとは知りませんでした。なんかイキイキとやってらっしゃるように見えましたが(笑)。戸田さんとの嫌味合戦が面白かったです。

アンコールの時、ものすごいスタンディングオベーションで、何か本当に久しぶりに「本物のカーテンコール」を見たなって気持ちになりました。終演後ロビーや帰り道で明らかに布施ファンと思われるご婦人方が「面白すぎて涙が出た」「ピアノの人がおかしすぎる」って話し込んでいたり、携帯で友達に「最高だったよーー!」と報告してる子がいたり、劇場で芝居を観ていたお客の心も、やっぱり「ちょっとだけ」幸せになってるんだなーって改めて思いました。ホント、やっぱ三谷幸喜凄すぎる。

ここ数年でもっともチケットが取れなかった芝居だと思います。いやもう、出だし油断した私も悪かったが、それにしても本当に取れなかった。このキャスト陣じゃ頷ける話ですけどね。ちなみに本文中にはないのでこの時のキャスト列記すると・・・
コンダクター:真田広之/ヴァイオリン:戸田恵子/チェロ:宮地雅子/ビオラ小林隆/ギター:川平慈英
ピアノ:小日向文世/ハープ:松たか子オーボエ布施明/トランペット:伊原剛志/サックス:白井晃
ファゴット北川潤/ドラム:菊地均也/パーカッション:山本耕史
・・・こりゃ、取れねえやな(笑)