「You are the TOP〜今宵の君」

  • シアタードラマシティ   12列39番
  • 作・演出  三谷幸喜

「単純作業はやればやるほど習熟してスピードは上がる、でも物を創り出すという作業はやればやるほど速度はおちていくものなんだ」
っていうこの言葉の重みに、まずノックアウトという感じでしょうか。

深夜のリハーサル室に集まった二人の男。一人は作曲家、一人は作詞家。二人の間には7年前に死んだ一人の女の影が今もある。その女に捧げる曲を、過去を探りながら、お互いを牽制しながら、思いやりながら、そして何よりも彼女を思い出しながら、曲を完成させるまでの物語。

もともと四季時代からの盟友。鹿賀丈史さんと市村正親さんで一本芝居を、ということで書かれた芝居。直前のアクシデントで鹿賀さんの代役として浅野和之さんが急遽この舞台に立ったわけですが、浅野さんは遊眠社時代から結構お気に入りの役者さんだったので、なんか柄にもなくちょっと心配になったりしたんですよ。(だって全然キャラ違うんだもん・・・)でも凄いよね役者さんっていうのは。ちゃんと自分のものにしてくるんだもんなぁ。ほんと、鹿賀さんだったらどうなのか、ちょっとすぐには想像出来ないほどのハマりっぷり。カーテンコールのやさしー笑顔も含めて、ますます浅野さん好きになっちゃったよ。

市村さんを舞台で観るのが実は初めてという・・・まあ今までミュージカル関係みてなかったからなんですが。ハッキリ言って、大好きです。こういうタイプの役者が私は一番スキ。テンションと笑いのバランス、キュートさ、どれ取ってもめちゃ好み!またこの役が本当にソーラヴリーでねえ。もう愛しくてしょうがなかったよ。戸田さんの変幻自在ぶりももう、見事の一語。すごいよーーーかわいいよーーー!!!可愛かったり色っぽかったり面白かったり。最高でしたほんと。歌も良かったなぁ。歌詞の「ご尊顔」がもうツボでツボで。

三谷さんの脚本は、イタイところも突かれるんだけどでもみんなが必ずちょっとだけシアワセになる、そういうところが大好き。今回の話は、いつもの三谷節というかトリッキーなまでに伏線のはられた完璧な脚本ではなかったけれど、でも三谷さんの暖かさみたいなものは充分あって、私は好きです。BN☆GTみたいなものも書ければ、こういうのも書けるというのが、三谷さんの才能だなぁ・・・なんて思ったりしました。