「詩のしの詩」  宇宙堂

一番目の畑に日が昇り
二番目の畑に日が沈む
三番目の畑に月が出る
四番目には何もない
何もない畑でうたをうたう
どんなうたなのか誰も知らない
さしずめ私は四番目の畑に焦がれる一番目の畑ってところでしょうか。

役者としての渡辺えり子さんの芝居自体は拝見したことがあるし、3○○の名前も良く聞いていたけれど劇作を拝見するのは初めて。「ある意味小劇場演劇の王道」という評判を聞いていたのですが、なるほどなぁと思うところもあり。まあなんにせよ一筋縄ではいかないと言いますか、難解と言いますか。一つ一つのシーン自体が難しいというわけではないんですが、トータルで捉えにくいかなぁと思ったり。咲き誇ってただ散っていく花と、えりこさんたち「うたうひと」を重ねているのかなと漠然と感じはしたんですが。ということは清美が徹子に言う「実になれ」ってのはどういう意味なんだろうなあ。・・・とまあこういう風に、いろいろと考えたくなるという点では非常に噛みごたえのある舞台であったと思います。

最初に書いた詩を、文字通りキャストのみなさんが歌って下さるのですが、これだけじゃなくて全編かなり劇中歌多かったんだけど、その歌が本当に素晴らしい。中でもラストに歌われた(上に書いた)詩と、立ち尽くすはいりさんのシルエットは美しくて秀逸!という感じでした。

ハッキリ言ってキャストで見に行ったと言っても過言ではないんですが、期待に違わず主要キャストのみなさんが素晴らしい。下手がいないっていいね、素晴らしいね(笑)はいりさんは相変わらず格好いいしねえ〜〜。劇中歌のレベルをいっぺんにプロ級に引き上げる(ってかプロなんだけど、歌の先生だもんね)深沢さんの歌唱力にマジうっとり。えりこさんのもと代議士ってキャラにも頷きまくりだし。寺島さんは「欲望」から続投だけどまた違ったイメージで良かった。篠井姫の珍しく朴訥とした感じも好感。役者さんの個人技も堪能させていただきました。