「ヴェニスの商人」 グローブ座カンパニー

  • MIDシアター  D列3番
  • 構成 田中幸司  演出 山崎清

ダカットダカットダカット その利子が
ダカットダカットダカット そのまた利子が
ダカットダカットダカットでは。
うーん・・・?

こどものためのシェイクスピア、今回はメジャー作品「ヴェニスの商人」。実はコレ、高校の文化祭でやらされたんだよなああ〜〜〜。なので個人的には思い出深かったりするんですが。台本のカットも私がしたのでシェイクスピアの中でこれだけは唯一「隅から隅まで読んだ」と胸を張って言えます(笑)

黒マント黒帽子、暗闇のハンドクラップと群唱。これだけでもう幸せ気分に浸れちゃうスタイリッシュな格好良さ。笑いを散りばめるのも忘れない、締めるところはもちろん締める、田中さんの構成の妙と山崎さんの演出手腕にはほんと脱帽。

借金のカタに肉1ポンド、のセリフと肉はいいが血は流すな、のポーシャの機転はシェイクスピアのなかでも名の知られたやりとりだと思うんですが、そういえば野田さんが「三代目、りちゃあど」でこのシーンをやり、シャイロックに「じゃあ血を流さないためにそいつを宙づりにして血をすっかり下げさせればいいんだろ」的な切り返しをしていたのを思い出しました。

まさかそんな切り返しは無理だとしても、今回はシャイロックを伊沢磨紀さんがやられていたということもあって、憎々しげな極悪シャイロック、という作り方ではなかったので、最後の裁判でシャイロック側の逆転を望んでしまう心情もありました。いやーだってどう考えてもシャイロックそこまで悪いことしてないもんね?私が一番カチーン!ときたのはアントーニオが「俺たちの慈悲をみせてやる」かなんか言って「キリスト教に改宗しろ」って言ったとき。あんたそりゃ傲慢にも程があるんでないの!?と思いますよね誰だって。
そういう意味で言えばちょっとスッキリ感には欠ける芝居ではあったんですが、まあだからって大幅に筋書き換えてもしょうがないですしねえ。ヴェニスをやるならシャイロック悪一色!みたいな作り方はきっとしたくなくて(私でもそう思うだろう)伊沢さんのシャイロックという選択をされたと思うんですが、解釈としてどっちかに旗色を決めた方が良かったのかなあ、という気もしますね。

しかしあくまで「子供のための・・・」であることを考えれば真っ当なチョイスなのかなぁ。観ていたお子さまたちはどう思ったんでしょ。シャイロック憎しとそうでない派に別れたりするのかな。それはそれで面白いよねえ。

キャストのみなさんの個人技の高さもさることながら、このカンパニーとしてのアンサンブルの良さにうっとり。舞台にいる方が楽しんで居るのが伝わってきて、それが何より楽しいし嬉しい。グローヴ座の閉館にともなってこのシリーズの行く末も案じられてるんですが、どうかどうかお願いだから来年もまたあのシェイクスピア人形に会えますように!!本当に本気で、神様仏様シェイクスピア様、お願いいたします(願)