「奇跡の人」

気がついたときから上演されていたんだよねえ。もうずいぶん昔に、大竹しのぶがサリバンなんてぴったりだなあと思った記憶はある。あるんだが、なんだか全面漂う「真面目そう」な雰囲気に今までずっとスルーしてきた。小須田さんが出ていても成志さんが出ていてもスルーしてきた。でも今回、ドリさんに長塚さんに吉田さん、歌川さんとこうまで好きキャストで固められて見に行かなかったらきっと一生見に行かない、と思ってチャレンジしてみました。鈴木杏ちゃんは初めてだけど(当たり前だ初舞台だもん)いや万一ヘレンこけても脇が良いからイイや!と思ってさ。

結論。
鈴木杏スエオソロシイ!!!
どこかのインタビューで(パンフでも)セリフを喋れる役で大竹さんとまたご一緒したい、と言っていて「初舞台だというのに大きく出たな鈴木杏」とか思っていましたが、いやもうぜひこちらからお願いしたい。次はセリフを喋る役で是非ともまた舞台に立ってくれ!アレで初舞台?あんたはなにか。天才か。北島マヤか。つーかカーテンコールで見せた笑顔のかわいさにおっちゃんもうメロメロよ。ちゃんづけで役者さんを呼ぶの好きじゃないけど、思わず杏ちゃん、と呼びたくなるね。「ガラスの仮面」でおなじみのあんなシーンやこんなシーンが今、まさに目の前で!っていうのも楽しかったし、あのふたりの文字通り体当たりのぶつかり合いは時に可笑しく時に哀しく。時々笑いを交えつつ、でもサリバンがヘレンに対して語る「あんたに世界を手に入れてやりたい」と言う言葉が胸を打つ。自分の中にある筈の言葉を掻き出そうとするヘレンの仕草が切ない。Waterのシーンではどうしようもなく泣ける。なんだ、やっぱりいい話だったんじゃん・・・(今更いうな)Waterのシーンももちろんなんですが、ラストでヘレンがアニーの所に寄っていき、頬にキスをするシーンの美しさとアニーの表情が何とも印象に残っております。

大竹さんはもちろんさすがにうまい!!ちょっとべらんめえな感じのアニー、私は好きです。母親役のドリさん、父親役の辻さん、愛ゆえに遠くを見ることが出来なくなっている両親を見事に演じてらっしゃいました。ドリさんにも泣かされた〜〜。長塚さんのジェイムズ兄さんは、父親の愛情欠損!な感じが全面に出ていて結構なはまり役だったのではないかと。最後の食卓のシーンで彼が立ち上がる前の表情がなんとも絶妙で印象的。ちなみに私が見た回で叩きつけた椅子の足をへし折り、その瞬間「あっ」って顔したのが(いや本当に一瞬なんだけど)すげえツボでした。しかも最後みんな食卓座って終わるでしょ、アレ。もうどうやって始末をつけようか気が気じゃなかったんじゃないかと・・・でもうまく処理してらっしゃいましたです。あと犬のマギーね。あいつ凄すぎ!!可愛すぎ!!ついつい目がいってしまうと言う点では大竹さん以上かも。