「ゴーストライター」G2プロデュース

お話の落としどころと、時間を折り畳んだ構成、ループして終わる作りは好きだしかなりイイと思う。しかしなんちゅーか、どうにもいまいち乗り切れない部分が大きいなあ。伏線というかネタというか、それは多分見ていればそうそうに気がつくし、勿論それを主眼にしているわけではないと思うけど、かといって「二人の恋愛」というには絆が全然見えませんよ!という感じなんだなあ。もうちょっと三上さん演じる洋輔と佳奈の、矛盾ばっかりなのに「やっぱし好きなんだよね、この二人」というのが感じられないと正直ラスト(の洋輔が)嘘臭すぎてつらい部分があるんじゃなかろうか。ということはつまりそれぞれのキャラクターがいまいち浮かび上がってこないということにもなるわけで。洋輔と佳奈以外は、言ってみれば極端な「マンガキャラ」なのでそれぞれに濃い役者さんたちはお手の物という感じに楽しんで作っていらっしゃるようで、それは面白いんだけど、肝心の洋輔と佳奈をどう見せたかったのかいまいち・・・うーん。いっそもっとトリッキーな話にして恋愛は表に出しすぎなかった方がイイのではと思うのは私が単に恋愛ネタ嫌いだからなのか。

しかし脚本がいいように書き換えられていくくだりは否が応にも「ラジオの時間」を思い起こさせ、しかも「ラジオの時間」に遠く及ばないあたりがなんともこう・・・。

キャラという点でいくと、三上さんの役は多分女性陣から総すかんを食らいそうですが(笑)、もっと魅力的に書いてあげることも出来たのではないかという気がする。個人的にはもっと徹底的にダメ男の方が良かったな。徹底的にダメだけど憎めない、なんて三上さんを見てみたかった気もするし。菜津子のキャラもなあ。作品だけに惚れていたのではないにせよこちらもいまいち中途半端。うーんうーん、ネタは悪くないと思うのに(最後のシーンはかなり好きです!)この「?」感はやっぱりどうにもメインの3人のキャラが立ち上がりきってないからではないのかと思ってしまったり。

私が見たのが初日開けて二日目だったんで、多分これは所謂「二落ち」というやつなんでしょう。そうだと思いたい。みなさん、セリフ噛みすぎです(笑)。三上さんも久保田さんもコングさんも間違えたり噛んだりあ〜あ〜あ〜あ〜。そのほかにもどうにも間が悪かったりテンポが出なかったり、ぴりっとしない出来だったことは否めませんな!まあこれは後半どんどん良くなるのだろうし、間がきちっと合えば笑いも取れてもっと循環していく気もするし、しょうがないんでしょう、うん。川下さんや楠見さんはマンガキャラを思う存分軽快に演じていてさすがです。コングさんのキャラも良い〜〜。そしてラブハンター関さんのハンターぶりは今回も健在健在大健在。あんた、声良すぎ!色気ありすぎ!髪が黒だったら言うことなかった。天才脚本家で見せた三上・関の並びがすごく好きだったんで今回もちょっと期待していたのですが残念ながらそれは叶わず。タイプの違う男前二人で並んだらすごく絵になるのにな〜。しかし関さんはカーテンコールでさえフェロモン振りまきまくりだね!すごいよあのひと。久保田さんはなかなかにかわいらしいキャラクターですっごく好みでした。不思議な持ち味をうまく生かした感じか?腹筋さんとのバトルは、お客さんは喜んでいたのでいいんでしょうけど私はもう別にいいです。ちょっと飽きた。

繰り返しになってしまうけど、最後の「天国」のくだりとラストシーンはすごく好きなのね。随分それで救われていると思うんだけど、だからこそ惜しいなあ・・・という感じの一本でした。