「ハムレット」

もう何回も言ってるししつこいと言われそうだけど、やっぱしハムレットって辛気臭い話ですよね・・・じゃあ見に行くな!ってか。いやほんとにそのとおりだと思うです。でも役者さんがさ・・・好きな人ばっかりなんだもん・・・ほんとこのジレンマってどうしたらいいんでしょうか。ささやかだけど希望を言わせてもらえるならもっと普通にハムレットをやってほしいんですよ。話がすげー嫌いなわけじゃないんだと思うのよ。なんかシェイクスピアやってるの見るといつも思うんだけど、本当にみんな今そのセリフ言いたいの!?って気がしてしまうんですよねえ。妹が頭がおかしくなったのに「泣いて頼まれてもここまで心は打つまい」(うろ覚え)とかさ。「陰謀が」とか「哀れな王妃」とか「気高い心が」云々かんぬん。もっとあるだろう、なんか違う表現が。訳はそのつど違うけど大幅に変えることはまかりならんという私の知らない法律でもあるのでしょうか。だからもうなんか、シェイクスピアお得意の比喩、婉曲表現、ループするセリフ、そういうのが正直鬱陶しいだけなんでございますよ、本当のところ。役者の心がそこにないように聞えちゃうんだもん。

なんでそう思ったかっていうと、吉田さんのセリフ聞いているときはまったくその鬱陶しさを感じなかったのね。壤さんとかほかにもそういう人はいたんだけど、特に吉田さんはクローディアス何度もやられているというのもあってか非常に馴染んでいらっしゃって、全然違和感がなかったの。だから彼が祈りをささげるシーンとか、ちょっとぐっと来たりしたんだよなあ。萬斎さん悪いわけじゃないんだけど、なんか・・・どうも・・・しっくりこない感じがなあ。尼寺のシーンとかはすごくよかったし声ももちろんいいんだけどなあ。うーん。芝のぶちゃんのオフィーリアは個人的に今まで見たオフィーリアの中で一番好きかも。っていうか本当に女の子にしか見えません!狂ってからの声の切り替えも素晴らしかった。増沢さんのレアティーズ、横田さんのホレイショーも格好良かったなあ。なんだか衣装がすごく豪華なのでビジュアル的にも楽しめました。役者さんはほんと皆さん期待通りって感じではあるんですよね・・・。

演出は凝りに凝ったのはよくわかるんですが、なんか間違えてる!と思うシーンも多々あり。オフィーリアの部屋の日本人形とか。旅芸人のところはもう絶対間違ってる!って感じでした。なにがと言われると困るけどありゃ違うだろう。外国人の捉えた間違った東洋、というか日本、というかとにかくあれはいただけない。植本さんそういう意味では残念な使われ方だったなという感じ。その植本さんが去年オフィーリアをおやりになった栗田さんのハムレットのほうがよほど斬新で素晴らしかったとちょっと思ってしまったり。

ハムレットのラスト「あとは沈黙」のセリフを私が「ああやっと終わる」という気持ちでなく涙に暮れながら見ることが出来る日は果たしてくるのでしょうか?はあああ。