「パラレリ」 川下大洋劇ゴーゴーハリケーン

  • HEPHALL  A列2番
  • 脚本 川下大洋  演出 上田一軒

タイトルの通り、パラレルワールドをネタにしたお話。構造的にはピスの「ナイフ」にちょっと似てる。いや構造だけですが。パラレルワールドへの高速エレベーター、という逃げ場が確実に確保されているのでどんなドタバタもほったらかして次の場面へ行ける。ということは最後の「オチ」次第でまあ芝居が締まるかどうか決まると思うんだけど、うーん、腹筋さんの好演もあっていい感じではあるのだがさいごちょっと余計だったかな?とも思ったり。好みとしては戻ってきた!と思わせて最後の最後実は違うんだよーん、ばん、と幕っていう方が好きだ。まあ好みを言ってもしょうがないんですが。
でも場面場面切り替わるごとにいろんな世界を楽しめるので飽きずに見ていられます。最初は少しだけだった違いがどんどん奇天烈になっていくさまもおかしい。個人的に秀逸だと思ったのはまるでミュージカル病(笑)の世界かな。

二日目ということもあってか、まだなんだか歯車が噛み合っていない所が多かったのは残念。セリフの間が合ってきたら多分もう少し上演時間も短くなるような気が。演出の上田さんが所属しておられる「スクエア」って見たことないんだけど、結構余白の多い演出で(照明も変わらないし音楽もないし)、そういう持ち味なのかそれとも本当はもっと役者で埋められるはずだったのか、その辺はなんともわかんないっす。

前から腹筋さんがパワーマイム役者、みたいな感じでしか出てこないのがつまんねーなー、と思っていたので、今回の役は結構嬉しかった。特に最後は殆ど独壇場だしねえ。途中ちょっとセリフが怪しくなりながらもがっつり見せてくれました。久々のパワーマイムじゃないパワー腹筋で満足。粟根さん、楠見さんは勿論うまいし流石だな、って感じかな。でも楠見さんちょっと風邪気味だったので声が・・・。粟根さんは渋・ご陽気・キチ○イ・歌と千変万化でファンはかなり楽しめるのではないかと。普通の男な川下さんは新鮮だったなあ。上田さんはとにかくきっついオカンぶりが絶品でした。