「ハルディン・ホテル」 NYLON100℃

面白かったーーー!「東京のSF」では大阪に来てくれなかったので久々に見たナイロン、って感じでした。間にドントラやSLAPSTICKSを見てるんだけど、このメンバーで見てこそKERAワールドを堪能出来る気がします。10年前にオープンしたホテル・ハルディン。そのオープン当日に宿泊した客に渡されたカードには「10年後のこの日に無料でご招待致します」と書かれていた。そして10年後の12月18日、それぞれの事情を抱えて再び彼らがホテルに集まってくる。

相変わらず、なんでそうなる?な噛み合わない会話で笑いを生んでいく妙はお見事。会話劇で3時間飽きさせないってすごいことだと思うなあ。個人的に今回のベストアクトはみのすけさんです!「静かにイカレた」役をやらせるとみのすけさんの落ち着いた声は独特の威力を発揮するなあ〜。大倉&三宅のコンビはファン的にはずーっと見ていたいぐらい面白可愛くてステキでした。大倉くん、久々に舞台で見たけどやっぱり舞台はひと味もふた味も違っていいよー。そしてカワイイ。えへ。三宅さんは「WEE THOMAS」の時も一人飛び抜けて光ってるなと思いましたけど、今回も緩急自在な演技でお見事でした。終盤の「茶化さないでやってくれますか」のあたりの説得力はすごい。不覚にも泣きそうに。そして、ベタだとは思いながらも野田秀樹のギャグには大笑いしてしまいましたよ(笑)「野田秀樹が最後高い声でなんかいいこと言うやつだよ」「大抵そうなんですよ」あーっはっはっは。

10年前拾ってしまったトゲ、入ってしまったヒビ、色々とかけまちがえてしまったボタンのそれぞれが、もう取り返しのつかない事ながらも、だからこその滑稽さと哀しさと、ある種の美しさをもって思い出されるラストの手紙がすごくいいです。セツコさんのトゲはもう痛むことはないだろう。ヒズメさんはミツワさんと赤の他人でなくなったろうか。マルボシさんはセツコさんともう二度と会わないだろうし、アヅマさんもチンさんもかけまちがえたボタンの後始末に追われるだろう。人生は大抵、取り返しがつかないからね。

客入れの音楽が、今までの公演で使ったメインテーマ(?)集のようで懐かしかったです。10周年おめでとうございます。これからも頑張って下さい。