「伽羅先代萩/船弁慶」十一月特別公演

伽羅先代萩
玉三郎さんの歌舞伎をちゃんと見るのは多分初めて。実はむかーしむかしその昔、東京遠征に行ったとき興味本位で歌舞伎座を見に行き、たまたまやっていた演目を幕見で見たんです。
それが玉三郎さんの「娘道成寺」だったんですね。
でも本当にその時の記憶はもう遠い昔の彼方だししかも私見ながらちょっと寝た(うわー罰当たり)りしたんでもうそれは観劇記録にカウントしないことに勝手にしているわけですが、歌舞伎好きの友人に「先代萩」は面白いよと勧められ、今後の勉強兼ねて行ってみるか!と。

番附読んでいるとこの「政岡」って役、女形最高の難役と言われているんですねえ。確かに、「御殿」のところなんて飯炊きの場面とか、あれだけ動きが少ない中であの感情の持って行き方、しかも30分以上まったく物語は進まないという・・下手な役者がやったら多分あっという間に睡眠導入剤がわりになるだろうって感じですが、これがまあ逆に泣かせたりするんだからおそろしい。涙するのを必死でこらえて盆で顔を隠したりするとことかわけもなくぐっと来る。でも個人的に一番うおおおお!って感じだったのが栄御前を送り出して一人残されたあと、茫然とした表情で姿勢を崩してそこから立ち上がろうとするんだけど・・・ってとこ。いやもう手の表情足の表情全てがすごい。我が子を目の前で惨殺されてそれでもぐっと堪えてきたその緊張がぷつっと音を立てて切れる様子が手に取るようで。まった千松をやった清水大希くんが泣かせる芝居をするもんで余計哀しい。

ちなみに今回「御殿」の前に「竹の間」があって、これをやるのは珍しいんだそうです。ほえ〜。でも、この「竹の間」がないと八汐があんなに憎たらしいやつ、って感じが出なくないか?御殿だけだとちょこっと出てきていきなり千松殺しているような印象。今回八汐は扇雀さんでしたが、これがもう、これがもう・・・最高。本気でやなやつ。いやーすげえ。めちゃめちゃ存在感ありまくりでした。悪役が光ると舞台は締まりますね。染さまのやった沖の井って多分すごくおいしい役だけど、何しろ玉三郎さんの政岡と扇雀さんの八汐が強烈すぎて、その二人を(論でとはいえ)押さえる役柄、という感じがちょっと薄かったような感じ。

床下までしか今回はなかったんですけど、話が面白かったんで結末までちゃんと見てみたいなーと思いました。

船弁慶
えーーーと・・・・ごめんなさいちょっと寝てました・・・・うわあああや、やっぱり踊りはね!ま、前の方じゃないとね!(言い訳)でも知盛が出てきてからは目を皿のようにして見てましたよ!格好良かったあ。染さま立役の方がやっぱり好きです。最後潮に呑み込まれながら消えていく様とか大迫力だった。あの狭い花道で、すっごいなあ。そういえば先代萩での仁木弾正の引っ込みもすごかったし、短いけれど印象的な出番だったなーと思います。