當る酉年 吉例顔見世興行 十一代目市川海老蔵襲名披露

  • 南座 2階左1列18番


「梶原平三誉石切」
初めて拝見する作品なので(って、ほとんどそうなんだが)ちゃんと筋書きを読んでおこうと思ったんだけど、劇場に着いたのがギリギリで、しかもまねきを嬉しがってデジカメで撮ったりしていたものだから席に着いたのがギリギリになってしまい、舞台見つつ番付で背景確認しつつ、落ち着きのない事をやってしまった。
刀を検分するときの仁左衛門さんの手つき、気合いなんかが2階席でもひしひし伝わってくるようで思わず見惚れる。六郎太夫段四郎さん、景親の我當さんも結構引き込まれる芝居だった。團蔵さんの呑助すごい好き。すいません飛び道具好きで。松緑さんの景久、えーとあれはああいうもんなのかな?なんか一人空回りっぽかったが、こういうのがお約束なのかしらんと思ってみたり。でもひとりだけ声張りすぎだと思う。
しかし、刀を試すのに二つ胴の重ね斬りってすごいな・・・怖すぎです。

「口上」
単純に豪華で豪勢で楽しいなーと思った。もっとしゃれのめしているものなのかと思ったけどみんな意外に真面目だった(当たり前か)。左團次さんのはかなり際どい感じで面白かったです。「いずれもさまにおかれましても」なんて日本語を聞いたの初めてかもしれない。
海老蔵さんのにらみ、手つきがカッコイイので思わず手ばっかり見てしまった。駄目な私。

隅田川
三味線の音が心地よくて・・・・すいませんこれ以上は聞かないで(汗)

助六由縁江戸桜」
よっ、待ってましたの助六。番付の解説に「助六実は曽我五郎、重宝・友切丸の詮議などといった理屈はもう、どうでもいい」と書かれていたのが衝撃であった。しかも「そんな筋より助六の格好良さや江戸っ子の美意識云々を見せる面白さが芝居の主眼です」とも書いてあってさらに衝撃。すごい。芝居のパンフに「物語の筋はどうでもいいから役者の格好良さを楽しめ」と堂々と書いてあるなんて、普通じゃ有り得ないことだと思うのだが、それを許す歌舞伎の懐の深さ。しかも見てみたら実際その通りの芝居だった。揚巻の出の見事なこと!その衣装の豪華さ!わざわざ手を広げて背中の模様を見せてくれるサービス精神!しかも帯が鯉の滝上り!竹田団吾も真っ青だ。でもって助六!カッコイイ!かっこよすぎ!紫の鉢巻が妙にセクシー!でも花道での見せ場が長い!目線嬉しい!でも配りすぎ!まさにこれでもかこれでもか。ああ堪能。

海老蔵さんの助六、ほんとに江戸一の男前って感じで見惚れますが、声も格好いいし通るのになぜか語尾がはっきり聞き取れない不思議な現象が。べらんめえだからどうしてもそうなってしまうのだろうか。菊五郎さんの白酒売は大好きーーー。菊之助さんの揚巻もきれいだったなあ。亀蔵さんの通人、あそこまでやっていいのかと思いつつ私はもちろん諸手をあげて大好きです。遠目でもひとめで「亀蔵さんだ!」とわかった自分に愛を感じた。

口上の時もそうだったんだけど、海老蔵さん手がすごく格好良くて、手フェチの私はついつい手ばっかり見てしまいそうで危険でした。きれいな手してるよなあ〜〜〜〜