「キャンディーズ」 G2プロデュース

  • シアタードラマシティ 7列32番
  • 作・演出 G2

G2さんの脚本て個人的にピンとこねーなー、って印象がすごくあるんだけど、この作品はよかったと思う。あるレトロな石鹸工場に居る寡黙な職人の過去と、彼の因縁、運命が現在と過去を行ったり来たりしながら語られていきます。最初にある程度悲劇は暗示されてはいるけれども、それでも引っ張り方、運命の分岐点までの持って行き方もなかなか見事だったなあと。
ただラストがねえ。
ハッピーエンドになるのが悪いわけでは全然なくて、問題なのはあれではハッピーエンドになってないんじゃないかということなんですよ。永井が生きていて、「もう一度親方の石鹸を作ってくれ」というけど、そこで彼が承諾するのはその前の美雪との会話からして「自分の石鹸」作りでなければならないんじゃないだろうか。そして彼にその決意を、つまりは過去からの解放を決定づけるのは、同じ苦痛を味わってきた立花でなければならないんじゃないかと思う。もちろん、きっかけになるのは美雪でいいんだけど。

あて書きではなく、脚本を完成させてから納得できるキャストに依頼した、というだけあって戯曲の世界にしっかりキャストが収まっていて、それも見やすかった要因かなと思う。中でも、ケチ社長立花をやった山西惇さんと、親方をやった久保酎吉さんが絶品、この二人の親父芝居激突を見るだけでも大いに価値があったなと。久保さん、多分初見なんじゃないかと思いますがいやいや見事。最後の独白なんてほんとに聞かせる、という感じ。

新谷真弓さんや、竹下宏太郎さんなどもいい味、豊原さん、稽古場日記によると直前に役設定の変更があったようだけど、変えて正解な気がします。陰山さん、パンフによると今回出演を決めたのは久保さんが出るから、だそうで。20年ぶりの共演らしいです。大学時代早稲田「新」劇場でご一緒した仲だとか。
主役のお二人もすがすがしく、はしゃぎすぎない真面目な演技でよかった。総じて好印象、ラストを除けば(笑)。でも、G2脚本の中では一番好きかもですね。