第三舞台VINTAGEBOX2「パレード旅団」

ボロ泣き。

今回のBOX収録作品の中では一番新しいものなので、記憶も鮮明なはずなのだがところどころ勘違いして覚えていた部分があってびっくりした。あの布の下に観客をくぐらせるのはオープニングだとなぜか思っていました。そうかそうか、オープニングは傘だけで台風のシーンだったのね、あのダンスも。ジョン・レノンの「stand by me」をバックに踊るダンス大好きだったなー。

いじめられっ子の話と家庭の話、二つの世界の切り換えはどんどんスパンが短くなっていき、終盤は台詞ひとつひとつでめまぐるしく世界が入れ替わっていく。それにきっちりとついていく(というか、きっちりついていくのがすごいな、ということさえ客に感じさせない)役者さんたちがすごい。
これ、家庭教師と婚約者の役で言ってみれば「新人さん」がお二人*1出ていらっしゃるのだが、第三舞台って基本的に役者間の力量にほとんど差がなくて、タイプが違うとはいえ皆さん高め安定なのでそこに明らかに力量の違う人が入るとものすごく目立つのだなあ。出番的には大したことないのに、いやーやっぱ違うもんだなーと改めて思ってしまった。
とはいえ、この作品実は「第三舞台」のメンバーは大高小須田山下だけ、なんだよなあ。

実際に舞台を見たときも前回の「スナフキン」に較べてこっちのほうが断然好き!と思ってはいたけど、10年経って改めて本当に良い作品だなあと思いました。この作品をきちんと見れただけでも、このBOXの価値はある。
喪われていく家族と再生されていく家族。二つの世界が崩壊という名の再生に向かって突き進んでいく。家族から解き放たれようとするものと、家族をつくろうとするものの姿は希望のループなのか、それとも絶望のループなのか。

ファントム・ペイン」のパンフDVDの中にも収録されているが、山下さんが写真を取りに行こうとするところが泣けて泣けてしょうがなかった。

筧さんはこの作品の前身である「もうひとつの地球にある水平線のあるピアノ」で、今回は入江雅人さんの演じた「犬のポチ」をやり絶賛を博したらしい。*2想像できるような・・・想像できるような(笑)。いや、目に浮かぶようです。

*1:松田さん含めると三人

*2:ご本人も「第三舞台'81-'91」で「犬のポチちょっと当たったかなオレ」と仰っている