第三舞台VINTAGEBOX2「ビー・ヒア・ナウ」

またしてもボロ泣き。
第三舞台の中でも1,2を争う好きな作品。昔WOWOWで放送された「ビー・ヒア・ナウ アウトテイクス」をそれこそ穴があくほど見返していたため、そのリズムが身体に染み込んでしまっているのだが、しかし苦節15年、ようやく全編が見れると思うと感慨もひとしおです。
オープニングのダンスがフルで見れるというこの喜び、大高さんと小須田さんの長台詞がフルで見れるというこの喜び、筧さんの独白がフルで見れるというこの喜び、あの壮絶を極めたチアリーディングがフルで見れるというこの喜び!・・・って、いつまでやってても終わらないのでいい加減やめますけど、とにかく幸せです、はい。

後半、小須田さんと大高さんの回想シーンが入るあたりから、本当にいい台詞がてんこ盛りですごい。大高さんの讃歌の台詞も大好きだし、パッケージの裏に書かれている小須田さんの台詞はもう暗記してしまったほど何度も何度も読み返した。

僕たちは、片隅に転がる人形のように、自分の人生を捨てながら生きていく。
何種類の人形を捨ててきたのかも忘れて、その人形と過ごした幸福な日々も忘れて、僕達は生きていく。

これを見たときは私はまだ18歳で、だから実はこの台詞がぜんぜんわかってなかった。鴻上さんが「高校生が見に来て何がわかる」とよく言っていて、それを聞くたびに高校生だった私は何をー!とか思っていましたけど、でも確かにこの言葉の重さはまったくわかっていなかった。「私はあなたの、そういう友人になりたい」という「そういう友人」が示すものもわかっていなかった。いや、今もわかっていないのかもしれないけどさ。
でもあの頃聞いたこの台詞と、今聞く台詞は、私の中では明らかに違って聞こえる。この台詞の持つ優しさに、気付けてよかったと思う。

この公演の時の筧さんって本当に絶好調!というか、ギャグも存在感も格好良さもダンスもすべてが輝いている。と、筧バカなことを言ってみましたがいやそれも許されるでしょう。ああ、なんて白いマントがお似合い。86年のデジャ・ヴュから4年で、役者って化けるものなのだなあと改めてしみじみ。
カーテンコールの後クレジットが出てしまって、「うわー!やっぱあのラスト収録されないのか・・・」と落胆したらその直後に!!ちゃんとありました!!もーう、さすが板垣さんだわああ!と叫びましたよ思わず。背景のバトンが次々と上がっていき、一列に並んだ役者達が前を見つめたまま後ろへ下がっていく。すべてがなくなった素舞台の背後の搬入口から役者達が出ていく。この演出の格好良さ、ものすごく印象に残っていたのでまた見れて本当に嬉しいです。
私にとって「第三舞台」のメンバーが全員揃っていた、これが最後の公演でした。そういう意味でも思い出深いです。