「八月納涼歌舞伎 第二部」

「伊勢音頭恋寝刃」
殺しの場面があるというので楽しみにしていたのだが(するな)、それほど陰惨という感じでもなくて、はっきり青江下坂に貢が操られているという感じなんですね。いや、まあいっぱい死んでるんだから陰惨っちゃ陰惨か。
満座のなかでいびられている貢と、愛想尽かしをするお紺。これ、私生まれて初めて歌舞伎座の最前列!だったのでもう穴があくほど正面の福助さんを凝視してしまいました。ひとつひとつのリアクションを目立たないながらもきちんとしてらっしゃるなあ、と新鮮でした。煙管を吸いつける時の仕草とか、手が細かく震えてたりするんですよ。いやー見応えあった。
貢をいじめぬく万野の勘三郎さんがこれまたいやなオンナで、すっきりした姿の三津五郎さんに思わず同情してしまう意地の悪さ。豪華なキャストで堪能の一幕でした。

「蝶の道行」
染さまと孝太郎さんのお二人。私、踊りって本当に全然詳しくないのにあれなんですけど、日本舞踊であれダンスであれ、踊りって足下が見えないと価値半減、みたいな気がどうしてもしてしまうんですよねー。最前列って、実は足下はほっとんど見えないのでした・・・。蛍光カラーに富んだサイケデリックな美術とか実は嫌いじゃないんですけど、そこがちょっとだったかな。

「京人形」
楽しくて可愛らしい一幕でした!左甚五郎が恋した太夫に似せて作った人形に魂が入って動き出してしまうという筋書き。その人形に甚五郎の魂が入ってしまってるので、姿が太夫なのに男の動きってのが何とも言えずおかしい。太夫の落とした鏡を入れると女になり、それを抜くとまた男、という落差がベタなんだけど笑ってしまう。
人形の扇雀さん、甚五郎の橋之助さんともにすごく可愛らしくて、ほっこりほっこり。