「夏の夜の夢」HEP HALL Theatre14

去年もこのHEP発の企画でやっていた「ハムレット」も「見たいなあ」と思いつつ、去年は子供のためのシェイクスピアカンパニーで素晴らしすぎる「ハムレット」を見てしまったのでもういいや!と全然関係ない理由で行かなかったらこれがなかなかに評判もよく、くそー見ておけばよかったなーと後悔したのでした。

いろいろ拙いながらもとにかく役者さんたちのキラキラ弾けるパワーがすごくて、それにアテられっぱなしの3時間。うっかり10代とかで観ちゃったらこの楽しさに道を踏み外しかねないかも、と思うパワーがありました。

スカ・ミュージカルということで全体的にポップな楽曲で彩られたミュージカルだったんですけど、それほど違和感もなくはまっていたかなあ。パックの場面はすごく良かったです。あの歌すごく耳に残るし、パックの弾けてるキャラクターとマッチしていて楽しかった。

と言いながらも、そのあとの職人のシーンでミュージカルをきっちり笑いのネタにしているところなんかが更に好感度大(笑)

私の「夏の夜の夢」の知識は15年以上前にコクーンで見た死ぬほどつまらなかった舞台と、野田さんの演出したやつと、あと「ガラスの仮面」なわけですが、恋人たちの誤解が解けて大団円、のあとに職人たちの余興が演じられる、という構成(もちろん、原作の)がどうなのか!とちょっと思いました。過去に見た2つの作品でこの余興を見た・・・覚えがない。ガラかめでもない。
シェイクスピア作品ガイド37」によると(またあんちょこ・・・)今回の「夏の夜の夢」で最後に演じられる余興はものすごく忠実みたいで、壁や月を役者が演じるとか本当にそのままやっていてしかもちゃんと面白かったんですよねえ。実際、すごく笑ったし。あの筋で面白くできて、しかもスターヴリングのキャラを使ってある種ちょっと感動?まで盛り込むとはほんと凄いなって思ったんですけど、構成としてはどうしても恋人たちの騒動のあとこっちは一息ついてしまっているので「えっ?これからまだ余興?」という感じはどうしてもしてしまう。そのへんどうなんでしょうかシェイクスピアさん。

多分3時間15分ぐらいはあったんじゃないかと思うんですけど、その長さが思ったより気にならなかったし、すごく面白かったんですが、もう少し短いとなおいいな、と思ったのも事実で、2時間45分ぐらいだと二重丸だったかもしれない。

若い恋人たちにフレッシュな役者を、回りを老練(老じゃない)な役者で固めて、という感じ。個人的には回りの役者たちに興味津々。久保田さんや西田さん、美津乃あわさんにベテラン職人組も素晴らしかったんですが、今回はもう、個人的にこの人を強く推します。劇団☆世界一団の小松利昌さん。うまいわ〜〜〜・・・。もう惚れ惚れ。赤鬼に客演されているのを観たときも「気になるこの人」だったけど今回で確信に変わりましたね。オベロンの出てくるシーンがいちばん楽しみだった「夏の夜の夢」というのもすごい。もしかして、これってオベロンが主役・・・?とすら思いました。いやー、素敵な妖精の王を観させていただきましたよ。

千秋楽ということで、3度目のカーテンコールで演出の大塚さんとプロデューサーの丸山啓吾さんも舞台に上がって挨拶がありました。14日間、のべ3200人の動員があったそうで、パチパチパチ。すごいすごい。関西演劇界を盛り上げていこう!というお二人からの言葉にちょっとじーん。そして丸山啓吾さんはビックリするほど男前でビックリしました。これからもどんどん面白い企画を創り上げていって下さい!