「ラブハンドル」

  • シアタードラマシティ 7列31番
  • 作 中谷まゆみ  演出 板垣恭一

非常に歪んだ感想になっているような気がするのでなんとなく後ろめたいのだが、しかしまあそれが自分の感想というやつなのでしょうがないですね。私の感想・・・それはね。
千鶴がいわゆる「かわいい女」ってやつなら私は一生かわいい女になんぞなれんで結構。
ということですだよ旦那。

ごめん、どうしても千鶴が私にはダメだった。観ている間「あれ、この感覚何かに似てる」と思って思い当たったのは「キャラメルボックスによく出てくるヒロイン」ってことだ。どこでそう思ったかっていうと勝が担当していた離婚問題で協議中の夫婦の件にいつまでも「裁判するの考え直さない?」とか言うところだ。なぜ、お前が、それを言う。彼らのその後になんの責任も取らないくせに「この人だって思って結婚した、その絆を信じたい」そんなものは自分ちだけで勝手に信じてろって話ですよ。赤の他人を巻き込むなよ。「あたし不器用なたちだから、二つのことが同時に出来ないの・・・仕事と恋愛。」ぎゃーーーー!!痒いいい!痒いいよ!そんなことを!今どき!三十路過ぎの女で素面でこいてる奴がいたらぐーで殴るわ!!

あげく勝の娘からの留守電は勝手に消去するわ、どうにも勝が言い訳できないシーンでそれを暴露するわ、極めつけが「子宮の入り口に癌」。これは中谷さんどうかと思う、さすがに。なんで「腫瘍」じゃいけなかったの。芝居は台詞を音で聴くのだから、この二つでは印象は大きく違ってくるよ。でもって私はね、癌だなんてことを、そんなことをすら相談してくれない相手のことなんて、到底信用できないよ。怒るだろ、あれは。このシーンは「お見合い」の件だけでよかったんじゃないのかなあ?病気を盛り込む必要あったの?その後別にどんなシーンにも発展しないしさ。過剰な悲劇性は白けさせるだけだって。

姉夫婦の展開については、正直なところ長野さんのファーストシーン(やたら物忘れが激しい様がコミカルに演じられてる)で、なんとなく展開が読めてしまった。それでも可愛らしい、いいシーンだなと思うところはたくさんあったし、ラストはやはり感動した。千鶴と勝のカップルだって、最後は私は感動した。でもそれは、素直すぎるぐらいに素直に感情をぶつけていた原田泰造さん演じる「勝」に引っ張られたところが大きい。

というかね、私は勝がそんなひどい男には見えなかったですよ。あーあーすいませんね、どうせ私は(中身が)ダメ男ですよ!

結婚したい、と思う千鶴の気持ちに共感しないわけじゃない。私だって「約束」がほしいと思うことがあるしさ。形じゃないとは言いながら、でも形だって大事なんじゃないの?って思うしさ。だけど、この芝居での千鶴というキャラクターの存在の仕方は私には疑問符を感じるところばかりだった。いっそのこと千鶴が「計算マコちゃん」みたいなキャラで、最後にしめしめ・・・と悪魔の笑みでも見せてくれた方が良かったですよ。

3時間近くあったけど、枝葉を切り落として2時間強にできたかな、という感じ。長野・小須田は別として、原田さんと瀬川さんの二人が個人的にはよかった。二人とも、素直な衒いのない演技が新鮮でしたです。