「SASORIX 約束」月影十番勝負第十番

話の流れに一部触れているところはありますが、そんなにネタばれはしていない、と思います。でも気になる方はお気をつけて。

私が持っていた座席が座席プラン変更?かなんかで見切れになってしまったらしく、振り替えがあってそんでど真ん中3列目というお席を頂いてしまったのんのん。ラッキー。
上演時間2時間30分、休憩なし。パンフ1000円。パンフに月影ファイナルということでいのうえさんや粟根さん、鈴木裕美女史、入江さんに利重さんほかのコメントあり。あと、池田×木野×高田鼎談など。

キャスティングの勝利という言葉は結構聞くがこれこそ正真正銘の「キャスティングの勝利」だと思いました・・・いや凄かった。凄かったよ!この芝居、男要らない。いや成志さんも加藤啓さんもいいですけどね!しかしとにかく女優陣です、いや女優とか女性とかましてや女の子、なんて言葉じゃないな。もう、ズバリ女。しかも、女が女の前でだけ見せる顔のオンパレードとでも言いましょうか。

物語が走り出す前まではあ、なるほどこういう濃いキャラ芝居でいくのね、という感じで、それぞれのキャラクターが面白いので楽しいっちゃ楽しいんだけどイマイチ散漫、という感じがあったんですけれども、伊勢志摩さん演じる「能勢」が登場してから話が一気に締まってきます。この能勢と奈美子二人の会話、かなり分量があるけれど非常に良いです。そこに加藤啓さん演じるチンピラ風味の男が加わってきて、次第に能勢と奈美子の過去が見えてくる、といった展開。

伊勢志摩さんと高田聖子さんの「過去ある女」の並びが本当にレトロ感漂う昭和映画の空気すら感じさせて秀逸なんですが、そこに絡んでくる女たちがまた木野花千葉雅子池谷のぶえという剛の者。

中でも池谷のぶえさんの秀逸っぷり、千変万化ぶりには舌を巻きます。このひとの啖呵が一番迫力あったね・・・どの役もまったく見事でした。帰りがけに「あの女優さんが一番面白かった」と言っているおばさま方がたくさん居た(笑)

初日だったし若干役者さんに台詞を噛んでしまったり、みたいなところもあって*1これから一層精度が上がっていくのかなってところもありましたけど、それでもかなりのこってり感を味わえました。

月影十番勝負、多分半分ぐらいしか拝見していないのだが、第十番が一番好きかもです(笑)

千葉雅子木野花という、この二人に場末のスナックのママやらせて右にでるものがいるわけないだろう!という存在感も素晴らしかったし、池谷さんの素晴らしさは上に述べたとおりなんだが、この芝居、伊勢志摩さんを呼んできた時点で8割勝ちだね、というぐらい伊勢志摩さんの存在感がすごい。あの爬虫類系のクールさ、なんとも言えん。聖子さんは着替えて唄って着替えて唄って本当大車輪の活躍です!でも加藤啓さん演じるチンピラとのちょっとした心のやりとり、みたいなシーンに凄く女の色気があって良かったなー。というか、全編に渡って「男の前」にいる女の姿が見られるのはほぼここだけなんだわ。あとは最初に書いたとおり、「女の前でだけ見せる女の顔」のオンパレード。いやさすが千葉さんのホンだなと思うと同時にこれを演出している池田成志という人は相当底が知れないなと改めて思った(笑)

*1:っていうかアナウンスなのに吹き出していた成志さんどうなんですか(笑)