「白夜の女騎士」

遊眠社時代の上演は、VTRで見たもののみ。
パンドラの鐘」は実は蜷川さんが演出した方が好きだったんですね。野田さんが演出すると、どこかに「絵空事」な感じがあってそれが独特の美しさに繋がっていると思うんだけど、パンドラみたいな作品は題材を真っ平らにかみ砕いて、どうだ!と提示された方がインパクトがあったから。
今回のも、そういう意味ではわかりやすいし、悪くはなかったんだけどなあ。
しかし、「白夜」で私が一番好きなところはそこではないのだよ!というところが強調されている感じで、これはまあ好みの問題なんでしょうね。

「その後の信長」と「サスケ」のふたりの対話がすごく好きで、その信長を勝村さんがやる、というのがもうこのチケットを獲った唯一最大の動機だったわけですが、期待通りの好演、熱演で大満足でした。サスケとの間にちゃんと絆が見えるかしら?と思っていたんですけど、20ぐらい年の違うふたり(多分)で、でも段田さんと野田さんとはまた違う関係性がちゃんとあってよかった。なんだか最後の、託していく感じがすっと胸におちるんだよなあ。

松本くんは、若干声が嗄れ気味だったかな?と思うところがいくつかあったけど、総じて好演していると思う。身体の動きが本当にキレイ。杏ちゃんも、ここのところ「?」な感じが個人的にはあったのだけど、今回のはいいっす。逆に六平さんは普段は大好きな役者さんなんだけど、ちょっと声が届きづらくてスピード感がそこで死んでしまうような感じがあったのが残念。

しかし、作品演出云々以前になんで休憩時間が20分もあるのか!?っていうのが最大の不満かもね。いらないよ、あの休憩。なんのための休憩なの?観ている方には観ているほうの生理というものがあるんですが、と思った。

三部作で一番好きなのは「彗星の使者」なので、もし蜷川さんが三部作全部やるなら「彗星」だけはなんとしてでも観たいなーと思っております。