「トリデ」劇団♪ダンダンブエノ

  • 青山円形劇場 Bブロック19番
  • 作 和久田理人 演出 山西惇

相当にネタバレ感想になってしまっています。ご注意下さいませ。
見ながら「今日ってもしかして初日なの?」と思ってしまうほど前半ちぐはぐな感じがあったんですが、2日目でした。そうですか。うーんまだ噛み合ってない部分が結構あったのは残念。

物語は「学生」と「大人」の境目にいる人たちの、最後の「お祭りの一夜」を描いたもので、合間合間に「今」の目線での感想が語られるのですが、そのあたりの処理がぴたっとはまっていないような印象を受けました。逆に間延びしたように見えてしまって惜しいなあと。どう見ても青春なんてとうの昔に過ぎ去ったぜ、という人たちがやっているので、その合間を埋める意味もあったのかもしれないんですけど、前半は成功していたとは言い難い。

ただ、後半仲間の一人が姿を消して彼の帽子の中からコードの書かれた紙切れを見つけ出すところあたりから、そのコードから歌を紡ぎ出していくあたりから突然見違えるようによくなっていく感じがあった。歌がまずしんみりと牧歌的で不思議に心にしみるものがあったのもよかったし、ろうそくの中で普段では言えない自分のことを思わず話してしまう雰囲気もよく出ていたと思う。

最後に、その後の彼らの物語が「今」の彼らの目線から語られるんですが、ここは抜群によかった。ひとりずつ靴を履いて大人になった自分を語っていく。ただ一人、それを語らない、今どこで、何をしているかもわからない友人に「君はあの砦での日々を思い出すかい?」と語りかけるところでかなりうるっときてしまった。

しかし、この物語の爆弾はその後にあったのです。カーテンコールで「もう一曲」といってやったのがボ・ガンボスの「ポケットの中」。その前にうるっときていた涙腺がそこで大幅決壊。「生きてるよ。きっとどこかで生きてるよ」なんていうぼくもとさんの台詞までがどんとを思い起こさせてしまって泣いた泣いた。あーまさかここでしてやられるとは・・・っていう。

パンフによれば近藤さんの強いご推薦でこの曲を演奏することになったらしいのだが、作家の和久田さんはあまりにもこの曲が好きすぎて最初は難色を示したらしい。ところが、山西さんと話すうちどんとが山西さんと京大で同級生だったという事実に驚き、運命を感じてこの曲をやることにしたのだとか。

その山西さんが、女子なら誰もがきゅう〜〜〜んときてしまう役所を演じていて素敵です。男子諸君、女子はああいうタイプの男子に非常に弱いのだよ(笑)宮地雅子さんと近藤芳正さんのコンビを久々に拝見できたのも、東京サンシャインボーイズファンとしては嬉しい限り。