「ニコラス・マクファーソン」

※ねたばれ注意です
本当に本当に再演を心待ちにしていた作品。大好きでした、初演。*1今でも覚えているけど、家を出るまで見に行こうかどうしようかすごく迷って、でもええい!と思って当日券で見たんですよ。それでこの面白さでしょー、もー印象いいったらない。

後藤さん独特の毒とかっていうのはこの作品では味わえないかもしれないけど、1時間半、ぎゃははは!と笑って男のスーツ姿にうっとりしてっていう、私にとってはこれこそが「ザ・癒し」です!みたいなね。

この芝居の眼目はただひとつ、暗殺阻止のために居る二人の刑事と、暗殺目的のための殺し屋、これがひとつは本物、ひとつは実地演習のために作られたという同じセットで「同時に」芝居を展開していくところです。せりふは微妙にリンクし、動線は絡みまくる。ひとつでもタイミングを間違えたらアウト!というこのスリリングさ、話の筋立てがどうとかっていうよりも、これもエンゲキだからこそ表現できるものの一つだと思うんですよね。後藤大王って本当にちょっと悪魔的な頭脳を持ってるとしか思えない。こんな脚本考え付いてしまうなんて!

話のシュチュエーションからいって、絶対にスーツだろうとは思っていたんですが、世の中のスーツ大好き女性陣、ご安心ください。端から端までスーツです!そしてそれを最前列で舐めるように見てきましたよ・・・!かっこいい。ほんとかっこいい。最後のカーテンコールで三上さんがお辞儀したとき、顎から汗が滴り落ちて、それがもうエロいったら!のた打ち回りたかったよ、その場で!つーか汗とスーツって実際最高の取り合わせですよね!←「朝日」を骨絡みで愛する女

初演時、石丸さんの軽妙洒脱さが印象的だった東海林役を小須田さん。スーツは浅いベージュカラー、シャツは白。ほんとおいしいよね、この役は。小須田さんのお茶目な姿をこれでもか!と堪能できるのでお楽しみに。ソファに座って相手を見るときちょうど目線の先で、もうそのかわいさにじたばたしまくった。かわいいだけではなくてかっこいいのもこの役のずるいところだ!相手役の三上さん、続投組で当然文句なし。グレイのスーツでシャツは白。グリーンのネクタイの色が結構印象的。これまた結構かわいいところが拝めるのがいいっす!ソファでぐだぐだ言うとことか超絶ツボ。あと、小須田さんに耳打ちするところとかも。川下さんも続投、薄い紫のスーツでシャツがボルドーカラー。こちらもなんともとぼけた感じがうまい。普段切れ者をやることが多い川下さんや小須田さんがボケ役っていうのも新鮮ですよね。カーテンコールでの暴露によると、この日きっかけを間違えたらしい(笑)みのすけさん、ダークグレー(限りなく黒に近い)のスーツで、シャツも黒。ネクタイが派手だったな。さすがにこういう「噛み合ってそうで噛み合っていない」会話で笑いを積んでいくのがうまいです!これはキャスト全員にいえることだけれど、皆声の通りがすごくいいので安心して聞ける。みのすけさんってほんと声に独特の味があっていいですよねえ。紅一点の平田さん、もう、親指をぐっと突き出して大きく「GJ!」と、賞賛の声を送りたい。すごい破壊力。さすがです。三上さんとのやり取りがとにかく最高。六角さん、最初かなりから回りしている感じがあって大丈夫か!と不安になりましたが、後半のドタバタではその情けなさもうまくはまっていて良かったなと。

あの小須田さんがせりふを噛んだり六角さんが小道具落としたり、ほかにもせりふの入るタイミングとかでまだかっちりできあがっていない、という感じは若干あったものの、これはやればやるほど精度があがっていくんだろうなあと思います。とにかく!理屈ぬきで最高に笑えて最高に楽しめる1時間半。迷っている方は、ぜひとも見るべし!

*1:初演の感想はココ