「虹」グリング

  • 紀伊国屋ホール B列15番
  • 作・演出 青木豪

舞台は長野の小さな教会。神父とその妹夫婦、母親。教会に集まるさまざまな人々。

人間の感情を丁寧に積み重ねて描いている青木さんの脚本はやっぱり見事なのだが、若干散漫かな?という印象も残った。話の焦点がかちっと合うのが最後の最後、という感じ。
自動車事故を起こしてしまった夫婦の話は、別立てで続きがあるのかな?というような終わり方だったしなあ。

とはいえ、妹夫婦のエピソードは、検査結果を見るときから「ああ、ここで普通にいい方向に終わるわけない」という予感がぷんぷんしていて、うわーー(結果を)見たくない、と思うような緊張感があったし、そのあとの二人のシーンにはかなりの勢いで涙してしまった。過去の日の美しい思い出と、未来への希望を重ねて見せるところとかはなんともうまい。

梶原の奥さんをやった高橋理恵子さんて、サンシャインボーイズの「ショウマストゴーオン」で「のえちゃん」をやっていた人だろうか?もし違ったらごめんなさい。「海賊」でもそうだったけど、青木さんの描く女性はみんなどこか「強い」部分があるよね。そして「海賊」にも「虹」にも、男の人が号泣してしまうシーンがあるというのもなんかちょっと面白い。