- 世田谷パブリックシアター E列16番
- 作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
いやー面白かった。初演は見ていません。シアテレでこの間放送したやつは録ったまま未見。初演はもうどうやっても生で見れないんだし、再演を見ることが決まっているならその初見感覚を重視してみようかと思って。あーでも本当面白かった。私が見たナイロンの作品のなかでもこれはかなり好き。
廻家の4人それぞれにすごくいいシーンがあって、それは自分の孫に「旗を振ってついていく」「応援じゃない!」というお母さんだし、自分の母親と踊るお父さんだし、父親への誤解を解いてやる弟だし、お姉ちゃんに「どうしても伝えたいこと」を伝えにいく妹だし、もうとくにこの妹のシーンは普通に泣いてしまったよ、私は。長田さん、あのシーンで完全に客席を飲み込んでたよね・・・客席の集中力が一気に高まった感じしたもの。
タイムスリップなんて実際できても、案外自分の人生をやり直したいと思うよりも、伝えられなかったことを伝えにいきたい、と思うほうが強いのかもしれないなあ。
廣川さん、志賀さん、池谷さんの「いい声3人衆」*1の冒頭も大好きだし、ケラさん独特の台詞術は堪能できるし、そうそう、見ながら「これは名言だなあ!」と思ったシーンがあったのに、今かけらも思い出せないよ!家に帰って初演の放送のやつ見てみよう。って初演にない台詞だったらどうしようもないんだが。
大倉くんがひさびさに出鱈目な感じを振りまいていてすっごくよかった。リエさんも相変わらずうまいし・・・というか、キャストは本当にみな良かった!客演の立石涼子さんの凛とした感じ、池谷さんの破壊力(そして美声!)、そして坂田さんのカンダタ!*2あのダメ〜な感じと、でもなにかに賭けているような芸人の佇まい、昭和の匂いをすごく醸し出していて魅力的に人物をつくっていたなあと思う。
冒頭のポップなダンス、かっこよかったなあ。ケラさんの作品を見てみたいんだけどなにがいい?という人がいたら今度からこれをお薦めしよう。