「寿初春大歌舞伎・夜の部」

めったにそんなことないのだが、いろいろあって極度に集中力を落とした観劇になってしまった。申し訳ないし勿体ないことしてしまったなと反省。

勘三郎さんの鏡獅子、はじめて拝見したのだけど、本当に弥生のときが可憐で可愛らしくてちょっと観たことない感じだなあと新鮮だった。娘道成寺とはまた違う雰囲気ですよねえ。獅子となって現れてからの場を制圧するようなオーラもすごい。踊りとしては長丁場な方なのかな、1時間近くあったけど、長さを感じさせなかった。

金閣寺はなんだか話としては不思議なテイスト、此下東吉、実は、な展開とか最後の大立ち回りと、雪姫のくだりが共存して一本の芝居の中にあるのが面白い。玉三郎さま久しぶりに拝見したけれど、本当に美しくて毎回驚く。引っ込みのときに刀を大事そうに抱く姿が印象的だった。切られお富、福助さんのこういった徒な感じのする女ってのは大好きなんだけど、その前の鏡獅子で客席の集中力が切れているのか、全体的に散漫な空気のなかでになってしまったのは残念だったかも。福助さんって客の空気をすごく読むひとだと思うんですけど、空気を集中させるためにちょっとあざとい感じに走ってるのかなあという印象もあったり。サービス精神の表れだとは思うんですけれどもね。