「少女とガソリン」阿佐ヶ谷スパイダース

ネタバレあります。
初日観てきました。いやー、初日観劇ってけっこういいかも。

暴走する男たちシリーズ、「日本の女」「はたらくおとこ」に続く本作。櫛田という町で傷つき、傷つけられてきた男たちが、だからこそこの町にしがみつきそこを理想郷に変える日を夢見る。環境問題、差別意識といった社会的ともいえる問題を究極にミニマムな単位の中に織り込みながら、夢見る男たちの現実をあぶり出していきます。

阿佐スパがスズナリで、と聞いたときにこれはやはり「スズナリで」ってことに意味があったりもするんだろうなあと思ったんですが、スズナリ名物のあの階段を上がるときからそれは始まっていました。観劇予定の方はお楽しみに。

阿佐スパをこんなに小さなコヤでみるのは個人的には「日本の女」のOMS以来だと思うんですが、いやー、やっぱいいね。舞台美術もすごくうまく組んでいたと思う。舞台の上を狭いな、と思うことがなかったのは凄いことだと思うなあ。

彼らの抱えるヘビーな現実と、アイドルに夢中になるギャップがそれだけで最初は相当おかしいのだが、それがだんだん笑い事ではすまなくなってくる。アイドル待ちってなんか、ゴドー待ちみたい。じゃあこれはゴドーがきちゃったらって話であったりもするのか。いやそれは考えすぎか。

狭い世界の中でなら育てていられた彼らの理想郷、それが思わぬ形で外に開き、思わぬ形で実現しそうになり、そしてまた思わぬ形で終焉を迎えるわけですが、この着地点がなんというか、ほお、今回はそうきましたか、という感じ。初日なんで、あまり具体的に書くのは控えた方がいいかなと思うので書きませんけれども。しかし、長塚さんはこういう閉鎖空間のなかのコミュニティみたいなものを書くのがものすごくうまいひとですよね、つくづく。

このシリーズには欠かせない役者、中村まことさんが今回もさすがさすが。んっとに惚れ直す。松村さんはこれからもっと炸裂させていくだろうなーって感じ。池田鉄洋さんも個人的にはよっしゃきたーーー!というぐらいツボな役柄で、いい声爆弾投下しまくり。割と適材適所で配役としても鉄板、という感じなんですが、犬山さんのキャラがやっぱりいつもとは違うテイストを確実に投げ入れていて、さすがだなあとおもうことしきり。