「エンジェル・アイズ」M.O.P

15年前に初演された作品の再演。やーでも、古さはまったく感じないですよね。むしろ今のほうがジャストフィットなんじゃないか?と思うところもあったり。
ネタばれありますので(相当ばれてます。台詞まで書いてる)、大阪公演ご覧になる予定の方はお気をつけくださいー。

私自身はそんなに西部劇好きというわけでもないんですけど、うちの父が超!西部劇マニアでございまして・・・日曜映画劇場とかで西部劇がかかると絶対見させられていた。そのころはテレビ1台しかなかったからね・・・(遠い目)おかげでというのかなんというのか、この芝居に出てくる西部劇の「有名スター」、ワイアット・アープ、ドク・ホリデイ、カラミティ・ジェーン、ビリー・ザ・キッド、パット・ギャレットらの名前には馴染みがあって、より楽しめたなあと思うところも多かったです。

かつての「祭りの日々」よ再び、トゥームストーンはOK牧場の決闘のころの活気を町に取り戻そうとサミュエル・クレメンズ(マーク・トウェイン)のアイデアをもとに町ぐるみで一芝居打つわけですが、その計画の発端から成功まで、にちょっと長さを感じてしまったところもありました。しかし、どこかでくるであろうと待っていたどんでん返しの方向と、その見せ方。そしてラストにいたる展開のうまさに大変気持ちよく最後を迎えさせてもらったなと。

「今じゃもうはやらない」、かつてアメリカが理想とした「男の中の男」たちの偶像、その虚虚実実を描き、「最初の真のアメリカ人作家」と謳われるマーク・トウェインに「この国はもう大人にならなければならない」という台詞を言わせ、古き良きアメリカをそれはもう今や夢に過ぎないのだ、と描きながら、しかし最後にはバカででもとびきりカッコイイ男たちで魅せるという、マキノさんお得意の展開ではあるのだけど、わかっていてもぐっときてしまいますよね。

普通の芝居だったら、サムはこの芝居の中では「悪役」とくくられるかもしれないけれども、けれど彼の言葉は一方で確かに真実で、こういうシークエンスを描けるのはマキノさんの品性のなせるわざだなあと思います。

え、世界一有名な保安官がこれ?という描かれ方だったワイアット・アープが、エリオットに「撃ちたくないときは撃っちゃだめだ」「ここでもう一度誰かが撃たれなければならないとしたら、それは僕だ」というところ、この芝居の中で一番好きなシーンでした。

ああ、しかし、言ってはならないことと知りながら、これで小市さんがドクだったら・・・!という滾る思いを捨て切れなかったことをここに白状いたします(笑)また神農さんがさー、明らかに小市さん風にやってるじゃないですか。まあ新人で入ってきたときから小市さんに声似てるなって思ってたけど、ますますそんな感じでやってるじゃないですか。しかしほんとにMOPはいい声爆弾の持ち主が多すぎるな!でもドリさんとのキスシーンは神農さんの背の高さが生きてたよね・・・(笑)

三上さんは今回ちょっと3枚目に回ってる印象もあるのですけど、しかしまあ硬軟自由自在で飽きさせないったら。ドリさんは相変わらずかっくいいーー。アープをやった文学座の浅野さんもすごくよかったです。そして最後の客演紹介でももはや客演扱いすらされないほどの常連岡森さんもGJ。古き良きアメリカに最後通牒をつきつける役を一身に担った奥田さんのサムも印象的。最後はお約束の「本編とはなんら関係のない」(三上談)バンド演奏も楽しかった!来年も楽しみにしてますよーーー!