「四月大歌舞伎」夜の部

「将軍江戸を去る」。話としてはかなり面白く見た。山岡と慶喜が「勤王と尊王」の話をするところとか、面白かったです。すごく好みという話ではないですけど、こういうのも歌舞伎のなかにあるってのはすごいなって思う。三津五郎さんの慶喜が抑えめな芝居の中にも芯の熱さを感じられて良かった。
勧進帳」。始まって思ったけど、私、勧進帳見るの初めてなんじゃ・・・?みたいな。なんかすっかりどこかで見た気になっていた。有名すぎる話だからかなあ。山伏問答は見応えありました。仁左衛門さんの弁慶、なんというか情にあふれた弁慶に見えて、花道で一礼するときに、「かたじけない」って声に出さずに言ってたところとか、ぐっときたなあ。しかし仁左衛門さんも仰っておられるけど、この座組では見納めかもわかんないですよね。いいものを見させていただきました。
「浮かれ心中」。先ほどの富樫とはうってかわって、という雰囲気のお芝居。三津五郎さんと勘三郎さんのコンビがとてもよかったです。すごくいい空気感。あの芝居で最後宙乗りをやりましょうよって進言する勘三郎さんはほんとにエンターテイナーだなって思う。当初の予定通り心中で終わりだったら・・・やっぱり寂しいものね。この人、茶番を本気にとったんだね、茶番はいつまでも本気には勝てないのかねえ、ってそれで終わりなのは寂しい。パッと一花咲かせてお客さんを帰らせる、それって大事なことだよなあと思う。茶番が本気に勝てるかもしれませんよって、太助が栄二郎に伝えるところ、とてもよかったです。

今月の歌舞伎座は昼夜通して「桜」がテーマで、どの舞台にも多かれ少なかれ「桜」の花を感じさせるものがあって、今年お花見出来なかった分、この日で取り返したような気持ちになりました!