「HYMNS」

ZAZOUS THEATERを天に返す。
なんてこと言ってくれちゃって。

ああ、しかし、感慨無量というか、そんな気になりました。構造がすごくLYNXと似ていて、似ていて、それだけど違って、でもあのときと同じせりふが聞こえて、でも違って。LYNX、初演のLYNXを私はほんとに、ビデオが擦り切れるぐらい見た。白と黒のかっこよさを、私はスズカツ演出に叩き込まれている気がします。

絵的にすごく美しいシーン、そこだけ切り取ってポートレートにしたいようなそんな場面と、グダグダでただ気の合うふたりが部屋で無駄話をしているだけのようなゆるさとが共存していて、その切り替えも役者さんたちは非常にうまくコントロールしていたと思う。

LYNXではオガワはエンドウを撃つ。「そうだ、やっぱりお前は頭がいい」「とにかく憎め。憎めば到達できる」。そして部屋には頭を撃ちぬいたオガワだけが残る。でもHYMNSではクロエ(黒い絵)は彼に撃たせない。自分も彼を撃たない。最後の一発が入った銃口をオガワのこめかみにつきつけているときの小松さんの顔。銃を突きつけながら彼を抱きしめているようだった。そして彼は言う「お前は馬鹿だな」「相棒にはできない」。私はもう、涙が止まらなかった。

小松さんはとにかくすばらしかった。遊びのシーンのゲラっぷりもかわいくて大好きだが、やはり終盤の、銃をはさんでオガワと向かい合うそのたたずまいにトドメをさす。かっこよかったし、かわいかったし、おそろしかったし、いとしかった。あの「相棒にはできない」には、いろんなことが頭をめぐって、よけいに泣いてしまったところもあった。アツヒロくんのオガワとしての存在感には特筆すべきものがあって、スズカツさんが彼だからこそ3部作を完結させようと思ったのもわかる気がします。永島さん、そして巧者みのすけさんの要所要所を締める存在感もよかった。

ああ、しかし、本当になんというか感慨無量です。
だってオガワは白いキャンバスに向かって終わるんだもの。
いい芝居を観た。いいめぐり合わせだったなあ。先日見た、鴻上さんの「グローブ・ジャングル」然り、自分を育ててくれたものたちと、立て続けに再会、いや再会じゃないか、あらたな出会いをさせてもらっているような気になりました。出会いに感謝。