「最前線にて待機」売込隊ビーム

新しくなったABCホール。印象としてはHEPとアート館足して2で割ったような感じですか。リバーサイドで、ロビーからのながめがたいへんよろしいです。しかし、これから足を運ばれる方はやっと着いた!と思ったその先に池田屋もかくや、な大階段があなたを待ちかまえているのでお気をつけ遊ばせ。マジ、こいつ心臓破りの丘。

初演を見た姉が「面白かった」といっていたので帰省のついでに観劇。円形舞台を駆使したトリッキーな脚本上の仕掛けあり、装置も面白く、笑いもふんだんにあるのですが、最終的におっとそうきますか、というようなシリアスな着地点だったのは少々意外でした。

冒頭の、2つの場のセリフがそれぞれ重なっていく、という手法は実に私好みでして、ピタッとはまったときの気もちよさったらないですねあれは。

欲を言えばその前半のトリッキーさと、後半の無情とも言うべき戦地での展開をつなぐブリッジ的な役割を果たすものがあるといいのになあと思った。なぜ最前線が動いていたか、がバラされる前と後とで空気が違いすぎるかなと。それも狙いのひとつなのでしょうが、前半に後半の展開を暗示させるフックがあるほうがより効果的なような気がします。

少し似たシュチュエーションの話でもあるMONOの「その鉄塔に男たちはいるという」にも出ていらっしゃった尾方さんが客演でいらしていて、そういう「集団心理のいやらしさ」みたいなものを醸し出すのがやはり抜群にうまい。山田かつろうさんもすごく舞台で見ていて安心感のある役者さんでした。