LOVE30 VOL.3

30分×3。気軽に楽しめるエンゲキという感じでいいですね。とはいえ、なかなかにそそられる出演陣を揃えているあたり、うまいなあと思います。私は完全に松重さんと勝村さんに釣られている(笑)

30分の短編なので、脚本が勝負をきめるところもあるなと思いました。藤本さんの「しゃぼん」はうまい。短い尺ながらその中に話を引っ張る謎と伏線をきっちり引いていて、しかも「刃物」という緊張感が客の集中力をいやがおうにも高めるし、セリフにさりげなく差し挟まれるディティールも活きてる。さすがですね。横田さんの「エアコンな夜」はほのぼのとしたかわいらしい作品でしたが、話を展開させるきっかけにそれぞれ微妙な強引さがあっていまいちリアリティに欠ける部分があるかなあと。後藤さんのピアノレッスンは設定としては一番好みではあるんですが、もうひとひねり欲しいというか、お互いの心情が明かされてからの展開が惜しいなあと感じました。

どの作品も基本的に女性陣がピッチャー、男性陣がキャッチャーという形で話が展開していくので、基本的に男性側が「ボールを投げる」のはそれぞれの作品に1回きりしかないのですが、何を観ても男にしか興味がないワタクシゆえ(笑)、それぞれのキャストがその1回を「どう活かすか」をじっくり堪能させてもらったという感じです。鈴木浩介さんは淡々とした風合いの演技のまま芝居の色をさらっと変えていっているなーという感じ。勝村さんは豪胆な役もうまいのですが、こういう神経質な男の役もいい。電車の音にかき消されながら自分の心情を吐露するシーンがとてもよかったです。松重さんもテレビドラマなんかではコワモテの役が多いですが、お人好し丸出し!みたいなのも似合うんだよねえ。ともさかちゃんの両手を片手でにぎってしまうとこがまーかっこいいやらえろいやらでひとりで大興奮(変態め!)。

しかし短編の競作というのは面白いですよね。もっとこういうの増えたらいいのにーと思います。