読書週末続き

暗殺のジャムセッション (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1827)

暗殺のジャムセッション (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1827)

今回のメインイベント(笑)。堪能しました。しかし、なんでこれが40年も本邦未訳のままだったのか謎だ!原題の「CAST A YELLOW SHADOW」がどういう意味かわかるシーンもいいし、邦題の「暗殺のジャムセッション」も気が利いていて好きです。

私はよく自分の好きな文章を「硬質な文章」と言ったりするのだけど、ロス・トーマスの文章はなかでもきわめて純度の高いものでできているような感じがあって、それがたまらなく気持ちいい。会話も、基本的に事務的で、でなければシニカルなやりとりばかりなのだが、どこか必ず一カ所、登場人物が自分の感情を吐露するシーンがあって、他との比較もあるのだろうけれどそのシーンが与えるインパクトはとても大きい。「女刑事の死」や、このパディロ&マコークルシリーズの第一弾である「冷戦交換ゲーム」でパディロがマコークルに自分の気持ちを思わずぶつけてしまうシーンがすごく好きだった。今作では、話の筋書きからもその役目はマコークルにあって、かれが眠れない明け方の5時間をどう過ごすかを淡々と描写するところはとても印象に残った。

ああ、絶版になってしまっている「クラシックな殺し屋たち」もどこか版権を買い取ってくれないもんだろうか。ちなみに私はこの本を、大阪府立図書館で借りて読みました。図書館ってほんとすばらしい。



街の灯 (文春文庫)

街の灯 (文春文庫)

北村薫さんに念願(?)の直木賞受賞をもたらした「鷺と雪」のシリーズ初作。正直なところ、最初の2篇は小品だなあという感覚で終わってしまったけれど、表題作はなかなかの手応え。「鷺と雪」はシリーズ第三作目ということで、シリーズもので尻上がりに評判があがるというのも珍しい。二作目も文庫になったら読んでみようかな。「鷺と雪」はしばらく図書館で借りるのも難しそうだし、静観します(笑)

さすがにお腹がすいてきた(食えよ)。
中庭の出来事 (新潮文庫)

中庭の出来事 (新潮文庫)

恩田さんのエンゲキもの、ということで前から読んでみたかった本作。面白い構成です。入れ子がすきなひとにはたまらんかもしれない。個人的に印象に残ったのは廃線になった駅舎を改造した劇場の一連の描写。芝居好きの血が騒ぐツボを心得てらっしゃる!というか、そんな劇場あったら私が行きたいわ、マジで。そこで牡丹灯籠とか見たいわ、と普通に思いました。しかし「チョコレートコスモス」でもそうだったけど、どこか松たか子をイメージさせる女優が出てくるよね。
劇中で大女優役が言う「甘えが入った芝居には清潔感がない」という台詞は頷けるところがありましたです。



四畳半神話大系 (角川文庫)

四畳半神話大系 (角川文庫)

偶然か、これも構成が面白い作品。3話目までは「ふーん」という感じで読み進めておりましたが4話目の力強さがすごい。感心しつつその力業にちょっとぐっときました。詳細を書いてしまうと直でバレに繋がってしまう気もするのでこのへんで。「太陽の塔」でもそうだったけど森見さんの文章はその面白さもさることながら含羞があってよいですよね。やっぱりどことなく京都のイメージがするというか。

やー気が済んだ!お腹はすいたけど。明日は選挙だね。そして芝居だね。