目醒めていく 静かすぎる夜明け

太陽と月の下の往来@大阪野音 2009.09.20。
エレカシ主催、という名目での2夜連続のイベント。私がいったのは2日目、対バンはBase ball bearGRAPEVINE。1日目のtacicaにも惹かれたんですけど、バインが見たかったのでこっちにしたのだ。
座席が通路前のL列で、あーうれしいな、見やすそう、と思っていて、天気もすごく良くて、下手側だったので早々に日陰になって涼しかったし、言うことない、はずだったんだけど。
こーいうことを書くのってライブの感想じゃないので躊躇われますが、しかしこの日はちょっと純粋にライブを楽しむ、ということができなかったし、でもできなかった原因はアーティスト側にはなかったのだ。
私の隣の席だった男子二人組は、その会話からあからさまにエレカシのファンで、物販のTシャツも着ていて、そしてそのうちのひとりは酔っぱらっていた。彼らは、ベボベやバインの演奏をまともに見てはいなかったが、べつにそれは人それぞれでどうだっていいと思う。喋り声がうるさいなと思ったけど、途中からは携帯をいじるのに必死だったみたいで声も聞こえなかったし。でもその酔った方のひとりが、ベボベのMCやバインのMCに対して、携帯をいじりながら、いちいちどうでもいいヤジを飛ばしていて、その品性のなさにほんとうに腹が立って、とても音楽に対して心を開く、という心境にはなれなかったのだった。彼らはおそらくそれなりに年季の入ったエレカシのファンなんだろうと思われた。1曲目に演奏された俺の道や、精神暗黒街に激しく反応していたし、過去の日比谷野音のことを話していたり、会場で何人かファン友達と思われるひとと挨拶をしていたことからもそんな風に思われた。
こーいうこともあるんだなー、と、どうにも集中できない私の前で演奏しているエレカシを見ながら思った。この二人を切り離して音楽の世界に飛び込むことができない私の修行が足らんのだなとも思った。

しかし、そんな風に見ていても、ライブ自体はとてもよかったと思う。RIJFでも拝見したが、やっぱりバインのうまさは格別で、中盤でインストのような楽器の掛け合いがあって、終わったあとに田中くんが「イベントやのにこんなんやってごめんなー」と、ぜんぜんゴメンとは思っていない、自信満々の顔で言っていたけれど、あのセッションのかっこよさには本当にしびれた。すごく骨のあるバンドだし、それは、食いつきのいいキャッチーな曲でなくても自分たちを魅せることができる、という自信に裏打ちされているんだろうなあと思った。前日が12周年の記念日だったそうで、「おめでとうって言って!」と客席に投げかけ、おめでとーー!の声に嬉しそうにありがとう!!と返していたのがかわいかったです。しかし、白シャツじゃなかったなあ田中くん(笑)宮本とふたり、白シャツ祭りだ!と思っていたのにー(笑)

エレカシ、前述した俺の道や精神暗黒街だけでなく、「女神になって」をやってくれたのが地味に嬉しかった!ライフ、結構好きなんですよね・・・(笑)笑顔の未来や、「あなたのやさしさをオレは何に例えよう」のアウトロのときが特にそうだったんだけど、アウトロのフレーズの回数を何回とか決めてないんですよね、エレカシはいつも。それは宮本の気分できまる。だからこっちも、そのバンドの意思疎通をハラハラしながら見守っていたりするんですが、このエレカシのライブにはどこかつきまとう「即興性」というようなものに魅力を感じてしまうってひとはかなりいるんじゃないだろうか。あなたのやさしさを、の時は一回完全にタイミングがずれたのだけど、とっさに宮本がそこからメンバー紹介に入ったのはある意味見事だった(笑)

陽がすっかり落ちて、暗闇に包まれて、つめたい風が吹き抜けるなかで、宮本がアコギ一本で「冬の夜」を歌い出して、なんだか囁くような声で歌っているのに染み渡るようによく聞こえて、1番が終わったところでぱっとやめて「秋、いい季節になりました」と言ったのだった。あの瞬間はとてもよかった。野音ならではの空気だったなあとおもう。

来月はとうとう、エレファントカシマシ、20回目の日比谷野音2daysだ。2日間とも行きます。とても楽しみ。