小さき花を見るために

エレファントカシマシ日比谷野外音楽堂、1日目。

エレカシ野音、20周年、2days。ふと思ったんだけど、野音ってもちろんそのネームバリューも過去の歴史も踏まえて、まさに伝統のあるライブ会場だと思うし、「ロックバンド双六」的な見方でいえばかなり「上がり」にちかいところにあるとおもうけれど、20年間毎年毎年同じ会場で、それがしかも野音でやり続けているっていうのは結構すごいことなんじゃないだろうか。1990年から、デビューして間もない頃からずっとやり続けてきた野音。いつだったかな、私がエレカシのライブに初めて行った頃だったかな、2ちゃんねるエレカシスレで私のようなご新規さんが書いた「今年は野音でライブやるのかな?」という問いかけに対して「事務所がなくなっても、CDが発売されなくっても、野音はぜったいにやってきたんだよ」というレスがかえってきて、ああ、すげえ、と思ったんでした。その念願の野音に去年初めて足を運ぶことが出来て、今年で2回目。

1週間前の天気予報では晴れだったのに、前日に見直したらどんぴしゃで雨マーク。がーん。その時点では1日目はもちそう、でも2日目は朝から雨!みたいな感じだったので、慌ててフェス用に買っていた雨具を引っ張り出す。荷物入れるビニール袋!とか濡れたまま新幹線乗らなくてもいいように簡単な着替え!とか、そういう準備がさっさとできたのは助かった。なんでも準備しておくものですね。

ところが1日目の開演前にエレカシファンの方と一緒にお茶していたら、道行く人達が次々に傘を!がーん。折角の20周年で二日間とも雨かあああ、などとも思いながら、結構な本降りの中野音に向かう。外聴きのひと、どれぐらいいたのかなあ。かなりチケットもオクで高騰していたらしいですね。まあでも野音はどうしてもいきたい!って気持ちになるよなあ・・・。Bブロックの後方、ちょい成ちゃんよりで開演を待つ。雨はやまない。

いつものように出囃子もなくエレカシ登場。石くん、再び坊主に!宮本は黒いシャツ、黒いジャケット。そして1曲目、いきなり「夢のちまた」。「雨になれば水が増して」とか、「明日は晴れか 雨になるだろうか」って歌詞があるから選んだのかなあなんておもった。それぐらい雨の野音の1曲目にぴったりと寄り添ってる感じがした。

普段のツアーやフェスでは聴くことができない、レア祭りになることはもう大抵の人が予想して(そしてそれを期待して)いるわけだけど(宮本も『今日を楽しみにしてきた、マニアックな歌もたくさん』みたいなこと言うし)、でも「石橋たたいて八十年」にはビックリした!最後の地名をどんどん重ねていくところ、「東京、日比谷、おまえんち」となってちょっとぞくっとするほどよかった。秋は日が暮れるのが早いね、計算を間違えたかもしれません・・・と言って(かわいいなあオイ)「暮れゆく夕べの空」。確かに陽はもうすっかりおちてしまっていたけど、雰囲気はぴったりだったと思う。蔦谷さんのコーラスよかったなあ。

身体を動かしていたり、音を聞いていたりすると雨は気にならないんだけど、ふと気がつくと首からかけていたタオルがぐっしょりと濡れていて、雨足は強くなる一方だった。

ふと気がつくとサポートのヒラマさんと蔦谷さんのふたりがステージからはけていて、メンバー4人だけのステージに。そして長い歌だけど、とか、昔火鉢を、って話をしてあっ遁生かもっておもったらやっぱりそうだった。去年の野音でもやってくれて念願かなってうれしかったんだ。宮本はたくさんの素晴らしい歌詞をものしているけれど、この遁生の現代詩もかくや、な完成度は中でも凄いと個人的には思っていて、どう生きていいかわからない、誰もが心に持つ青年の、密やかな願いを一瞬掬い取って歌いきってしまうところがほんとうにたまらない。身じろぎもせずに聴いた。こういう曲を雨や空気や風の流れを感じながら聴くことができることこそが野音の良さなんだろうなあとおもう。

何もなき一夜、深くて青いライトに4人だけが浮かび上がって美しかったなあ。珍奇の間奏で宮本が珍しく「高緑!」って煽って、成ちゃんがそれに応えてがっしがしに指弾きしていたのが格好良すぎて悶絶。野音なら、これを聴かなきゃ!な「武蔵野」、自選集のポニキャ版に収録された「この間見つかった古い新曲」の「きみの面影だけ」、いやーホント、さすが野音

初めて聴く「地元の朝」。改めてすごい歌詞だ。これが収録されている「扉」の「生きている証」を最初にライブで聴いたときもそうだったんだけど、自分の身に置き換えないではいられない。お母さん育ててくれてありがとう♪なんて歌詞を聴いてもちっとも心揺さぶられないヒネクレ屋の私でも、この地元の朝には震えざるを得ない。

しかし、この曲の途中で例のパイプ椅子に座っていた宮本が立ち上がって、ギターをかけようとしたらストラップがねじれて短くなっていたもんだから、もんのすごい高い位置でギターを抱えるスタイル(ドリカムの中村さんみたいな感じさ)になってしまって、あの曲のトーンのまんまで
「すごく・・・(手元が)高いです・・・」
と言ったのがおかしくておかしくて、でも地元の朝の途中だし曲には聴き入ってるし、でもギターを外そうかかけようかでバタバタしている(でも歌はそのまんまのトーンで続いている)宮本がたまらんし、どうしていいのかわからんのはこっちだ、っていう(笑)

シグナルもうれしかったなあ、あのシグナルPVがエレカシのPVのなかで一番好きなんですけど(しかしこんなに難しい歌もないわ!普通の人じゃ歌えない)、野音の様子が一瞬映るんですよね。あれ見たさに何回もリピートしてしまうという。

本編ラストはハナウタからFLYER、ガスト、ファイティングマンと鉄板の流れ。ガストロンジャーで腕を振り上げるんだけど、振り上げるたびに雨がボタボタ!と流れてくるというこのジレンマ!

寒くなることは予期していたのでユニクロヒートテック着用だったワタクシはライブ中はそれほど寒さを感じずにいたのですが(ほんとユニクロ出来る子でね)、でも濡れたところから確実に冷えていくし、アンコールは頼む早く出て来てくれーと思っていたら、ほとんど待たせずに出て来てくれた。いつもアンコールでは着替えてる宮本もシャツを着替えてなかった。そしてソーメニー!わー!ありがたい!飛び跳ねて暖まれる!ってどんな感想だって感じですけど、でもソーメニー自分は久しぶりだった、大好きだし(ガストより好きかも)確実にアガる!という感じ。しかし跳ねれば跳ねるほど雨も跳ねるというジレンマ(笑)

雨というコンディションもあってか、エレカシ特有の宮本の思いつきでセトリをガシガシ変えていく、という光景がこの日はあまりなかったんだけど、アンコールは多分入れ替えてたんじゃないかなあ。次が「やさしさ」で、開演前ご一緒させていただいた方が「聴きたい」と仰っていたのでうおおお!と思ったんだけど、もしかしたら急遽やったんかもなあと思いました。しかしこのやさしさ、超弩級によかった。もうアンコールなのに、30曲近く歌ったあとなのに、あの声ってすごくないか。名曲すぎる。

今宵、笑顔の未来へ、Sky is blueをはさんで俺明日でラスト。さすがにアンコール粘らなかったね、やっぱりみんな相当寒かったんじゃないかと思う。宮本が最後のほうのMCで、みんなありがとう、雨の中来てくれて、風邪ひくなよ!って言ってから「風邪なんてネガティブなイメージ植え付けちゃいけないな」とか言っていた。

日帰りで新幹線に乗るお友達を見送って、日比谷のホテルに帰り、髪を乾かして着替えてホテルの2階のMUJIcafeでフォーを食べて暖まって、部屋でシャワー浴び直してハーブティ淹れてあったかーーーくして寝ました。おかげで風邪は引かずにすみました先生!



エレファントカシマシ日比谷野外音楽堂 10月24日セットリスト

01 夢のちまた
02 俺の道
03 女神になって
04 石橋たたいて八十年
05 暮れゆく夕べの空
06 悲しみの果て
07 おかみさん
08 遁生
09 何も無き一夜
10 いつものとおり
11 珍奇男
12 生命賛歌
13 武蔵野
14 季節はずれの男
15 きみの面影だけ
16 ジョニーの彷徨
17 地元の朝
18 シグナル
19 OH YEAH!!(ココロに花を)
20 ハナウタ〜遠い昔からの物語〜
21 FLYER
22 ガストロンジャー
23 ファイティングマン
アンコール
24 so many people
25 やさしさ
26 今宵の月のように
27 笑顔の未来へ
28 Sky is blue
29 俺たちの明日