「2010年劇団☆新感線三十周年興行【秋】豊年漫作チャンピオンまつり『鋼鉄番長』」新感線

東京公演がおあずけになってしまったので、ようやくの鋼鉄番長!でございます!う、うれしい〜〜!

劇団30周年の記念興行、ネタもの、おポンチということでもうはなから笑う気満々で出かけているわけで、そして見終わったあと(時によっては見ながら)「ひでぇ〜〜」「くだらねぇ〜〜〜」とゲラゲラ笑ってくるという、まったくもって新感線を観る楽しみここにあり、といった感じでした。以下畳みます!バレ注意!


構図はね、もう、まんま轟天2です(笑)いや、それは創られてる方がそう仰ってるので全然問題ない。まったく正しいことになんか興味のない主人公、いやいやそれを助けるヒロイン、コウモリのようにどっちつかずな男、カリスマぶりを発揮する権力者。その構図をこれでもか!と散りばめられた小ネタがぎゅうぎゅうに埋めていくっていうね。

しかし、ラスボスに古田さんがくるとやっぱり物語の締まり方が違うよなあと思います。井尻先生の台詞じゃないけど、にじみ出る「本当の主役は俺だ」感ハンパない。そして「最後にあれを倒さなきゃいけない」というプレッシャーがたとえネタ満載であったとしても客の心理を盛り上げる。つくづく得難い役者ですよ古田新太という男は!

しかも今回、いやもう往年の新感線ファンは皆口を揃えて言っているが

古田が
痩せた

のである。もう一回言いますよ

古田が
痩せた

それって
クララが
立った

以上にあり得ないことだと認識していたファンは少なくなかったはずだ!それが、それが、それがどうよ!ほ、ほ、ほんとに痩せてる!し、しえ〜〜〜!こんなことってあるんですか。痩せてと言われれば言われるほど頑なに痩せようとしなかったというのに!私が何に感動したかって、常に「太った」ことを舞台上でネタにされていた古田さんに、サンボちゃんが「おまえちょっと痩せたからっていい気になるなよ!」と「痩せた」ことをネタにしたことです!そんな!そんな時代がくるなんて…!

しかし、殺陣の動きも今までよりも打突の重さより早さ鋭さを前面に出してる感じだったし、またそれを楽々こなすんだからすごいよなあ。ダンスも軽やかでかっこよかった!

今回、私の笑いのツボに蹴りどころか波動砲を打ち込む勢いだったのは聖子さんです。いやもうしばらく思い出し笑いしてたよ私。あの口調!あの佇まい!そして、「成り上がり」!聖子さんがしらっとE.YAZAWAの台詞を唱えるたびに、笑いすぎて息を吐き出しすぎて苦しくなったとかこれ実話ですから!あとインディさんのゴラムね!なんであんなにうまいのかね!「スススス、そうよ、いとしいひと!」って言って欲しかったよ(笑)田辺さんと坂井さんの客演組は、基本足し算の劇団員のなかである意味引き芸というか、ガンガン押してこないけど、ゆったりと確実にバカ、という感じですばらしかったです。いのうえさん相変わらず女の子にちょっとえっちなことさせるの大好きだね!

さっきも書いたけど、構図がそのまんま轟天2で、それでもってそのときの成志さんやじゅんさんの佇まいっていうのはもう頭の中に入っちゃってるので、芝居が後半になるにつれ、もうひとりのキャストの存在がちらちらと見え隠れしなかったと言ったら嘘になります。しかし、そんななかで三宅さんすごいなって思ったのは、もちろんこの短期間にこのたいへんな役をものしたということだけではなく、ちゃんと「2号」として役を全うしていたことです。2号は三宅さんにしかできないし、三宅さんだからこそできたキャラクターになっていて、それはほんとにすごい、これは三宅さんの芸の力だなあと感じ入りました。成志さんの代役をつとめたのは河野さんでしたが、サンボちゃんはある意味裏切りの系譜の中にはいたもんね前から(笑)でもこんなに必死な河野さん観たのいつぶりだ・・・とかも思いましたけども。っていうか成志さんのうさんくささはあれはもう芸やね、河野さんはやっぱりどこかかわいらしさがあるよ!と思いました。

さすがに芝居自体ももう練り上げられていて、スタッフワークも含め万全という感じ。安心して楽しませていただきました。あとは福岡千秋楽にお邪魔する予定です。もう観やすいとか観にくいとかよりも何よりも、嘉穂劇場という場所を楽しむこと、でもって、このいろいろあったお祭りの最後をがっつり見届けてくる所存!