ソーシャル・ネットワーク見てきました。最初はあまり見に行く気がしてなかった(東京国際映画祭のまさに初日、直前までそのオープニング作品であるこの映画を見るお友達と食事をしていて、当日券でるかもしれませんよ、とお誘いを受けたにも関わらず見ていないというほどに)。興味を持ったのはたったひとつ、脚本がアーロン・ソーキンだと聞いてからです。しかも会話劇、マシンガンのように台詞が放たれているというではないか。これは見てみたい。ああ、しかし、成功そして裏切りとかそういう筋書きを好んで見たいかといわれるとううむううむ、と逡巡しておったのですが、まあ最終的に重い腰をあげました。どっこらしょ。
上映時間2時間、あっという間。台詞台詞台詞の洪水、しかし私はこれを字幕で見た訳ですが、ソーキンのドラマでもそうですけど、字幕の情報量は絶対原語に追いついてないでしょうこれ。だからといっていきなり吹き替えという選択肢はとりにくいしなあ、という。
ザッカーバーグは「いやな奴」か?それを否定する材料を探す方が難しい。冒頭シーン、彼女であるエリカとの会話での彼はひどいもんだった。ではウィンクルボス兄弟は?彼らに対してザッカーバーグが放つ「彼らが怒っているのは初めてて物事が思い通りにいかなかったからだ」というのはまさに真なり。ではエドゥアルドは?ザッカーバーグの唯一の友人で、理解者で、facebook設立のための資金を出してやり、それなのに「騙し討ちにあった」と主張する彼は?
映画を見ながら思い出していたのは、三谷幸喜さんの「コンフィダント」で描かれた画家たちのことでした。ゴッホ、ゴーギャン、スーラ、そしてシュフネッケル。ゴッホら3人のためにサロンを借りてやり、金を出してやり、なにくれとなく面倒をみた画家のシュフネッケル。そしてかなしいほどに、凡人だったシュフネッケル。
エドゥアルドは善人か?そうかもしれない。けれど彼には徹底的にビジョンが見えていなかった。そのことは、ザッカーバーグのある種傲慢さを描くのと同じぐらいの頻度で延々と描かれている。そしてそのことは、facebookを作るうえでどんな悪よりももしかしたら「わるいこと」だったのではないかとおもう。少なくとも、ザッカーバーグと、そしてfacebookにとっては。
映画の中で個人的にもっとも興奮したのは、ザッカーバーグがとうとう彼の「ビジョン」を完全に理解するショーン・ハーパーと出会うところ、彼の「独演会」でのパンチラインの数々です。そして去り際の「theは取れ。”facebook”。シンプルに。」
あとはウィンクルボス兄弟とハーバード学長との会話の痛快さ、ウィンクルボス兄弟の弁護士とザッカーバーグの会話(「聞く気がない?」「聞く気はない。ぼくは宣誓した。正直にすべてを言うよ。だがあなたたちはぼくの答えを決めてしまっている。そんな質問は聞く気がない」というような趣旨のシーン)、そして大音量のクラブで、ハーパーとザッカーバーグが語るかれらの輝かしいビジョン。
実際のところわたしはfacebookに登録している(そして使っていない)*1けれど、まだその魅力というのを知るにはほど遠い状態です。それでも2時間、あっという間に時間は経った。この映画が傑作かどうかは私が決めることではないけれど、とてもいい2時間を過ごせた気がします。
最後にリンクをはっておきますけど、わたしがなぜアーロン・ソーキンにそこまで肩入れしているかというのはこのドラマが原因。
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というわけなので、ソーシャル・ネットワークでソーキンがアカデミー賞取ってくれないかなーということをひそかに心待ちにしておる次第。
*1:でもって久しぶりにログインすると「おかえりなさい!」メールがくる。親切設計すぎやしないか