「流れ姉妹 たつことかつこ-エンド・オブ・バイオレンス-」真心一座身も心も

真心一座ファイナル!これ以上ない、というゲストラバー&ゲストレイパーを迎えての最終章でごじゃります。本多は終わりましたが各地方公演&東京凱旋公演が残っているので以下畳!

私は第三章を見逃しているのですけれど、冒頭に映像で「今までのあらすじ」をがっつり紹介して下さるので無問題でした。しかし、あの廣川さんの妙にしゃちほこばった口調とか全体的に漂う絶妙なチープさとか、なんか原点に返るじゃないけど、そうだ私こういうの好きだったんだ、って思い出す感覚がありましたねえ。

しかし、ファイナルゲストでラバー池田成志、レイパー古田新太というおふたりのキャラから想像できる方向性を見事に裏切ってきたというか、まさに予想を裏切り期待に応える、というお手本のような出来ではないのかこれはと思いました。いやーそうきたか!そうきたか!すれ違っただけでニンシンさせるとまで言われた色気ダダ漏れ男古田がレイパー、いやあそれはさぞかしヘッヘッヘ、みたいなところをつるっと交わしてくれたやないの千葉さんたら!なにあの乙女古田、なにあの誘い受古田、かつこ、アンタ漢だぜ!と涙を目の幅で流しそうになりましたよ。

でもってラバーはラバーでえっどうしたの成志さんその笑っているけどけっして目は笑ってないみたいな謎めき加減、顔芸披露したり話芸披露したりしつつもあのたつこを相手に常に主導権握ってるとかなんなの、しかも最後のあれなにあれ。そして河原さんが「黒ポーチを託す」というだけあって、ほんとに存在感まで寄せてきた、という感じがあったのがすごい!

姉妹と母、という関係性に「兄」というカードを1枚加えただけなのにこの話の展開(と大団円)ぶり、千葉さんすげえよアンタ…。おもえば今回の二人はそれぞれラバー、レイパーではあったにせよ、最終的には「兄」と呼ばれたかった男たちだったのだなあ。

ガヤの皆様の仕事師っぷりは相変わらずすばらしいのですが、古田の恋人役をやった小林顕作さんの終盤のあの異様な押しっぷりはさすがというほかない。でもって伊達さんの「虹」のママぶりには椅子からずり落ちそうになりました。はまりすぎでしょあれ!

村岡さん演じるかつこがみせる普段の穏やかさと、ほんのいっときだけ顔を覗かせる激情、千葉さん演じるたつこがみせる普段の激情と、ほんのいっときだけ顔を覗かせる穏やかさ、どちらも本当に魅力的でした。わたしはたつこの、噛みついて噛みついて、でも最後の最後にはもろい、みたいなところが大好きでしたよ。

しかし、歴代4名のレイパーのうち3人が新感線、ほんと舞台の上であそこまで衒いもなくケレンを見せるということについてどんだけ長けとるんだきみたちって感じですよね。頼まれてないけどベストラバーを選ぶなら第一章の松重さん、ベストレイパーは第二章の高田聖子さんとさせていただきたい(勝手にして)。古田さんがパンフで聖子さんの名前をあげて「手前味噌ですいませんが」みたいな断り書きしてるけどしょーがなかろうもん、あの役をできる女優は、っていうか役者はっていうか、聖子さんしかいないとマジでおもう。今、思い出しても笑える。ほんと聖子さんマジリスペクトっす。

愛されるいいシリーズだったなーと思います。河原さんが愛情かけて隅々まで目を光らせて世界を作ってるなーということが良くわかるいい舞台でした。ひとつ心残りがあるとすれば前進座で見たかったヨー!ってことですかね、くうう、最初から日程発表になってれば調整した(かもしれない)のに…!でもこういう芝居は本多で観たいよね!という最初の願望は達成できたので満足です。ほんとに一座の皆様お疲れさまでした!