そうだ、博多行こう

先日、ろくでなし啄木の休演日に橋之助さんともども勘太郎くんも福岡に飛んで緊急の記者会見をしたというのはもう皆様ご存じの通り、それに先だって昼の部「俊寛」の代役を橋之助さんが、夜の部「夏祭」の代役を勘太郎くんがつとめるというのもすでに発表済み。

正直なところ、まだ私うまく実感がわいていないところがあって、それは中村勘三郎という役者にこういう事態がまさかおころうとは、というのをまだきちんと脳が処理できていない感じなんですよね。

わーーっとぐるぐる考え出したらろくなことにならないし、ろくなことにならないどころか何の役にも立たないし、つまるところ私たちには板の上で起こることを全身で受け止めるしかないのだなあと、こういうことがある度に思うことをまた思う、という繰り返し。

しかし、私がこの「夏祭浪花鑑」を偏愛しているというのは何度もここでも書いてきましたが、昨年の大阪平成中村座でこの演目を見ている時に、勘太郎くんもいつか、この団七をやる日がくるんだなあ、それはいつだろう、今はまだうまく想像できないなあなんてことを思っていたのですよ。

まさかこんな形で、というのは誰しも思うことではあるけれど、でも初役は初役、そしていつか、この人がこの役をやるところを見たい、と思っていたその大役を果たす時がきたわけです。

もともと足を運ぶ予定でしたが、こうなってくると初日、とか、楽、とかいうスケベ心が顔を覗かせるのがヲタの悲しい性でしょうか(笑)

啄木の楽日が26日、そして博多座の初日は3月2日。通常じゃ考えられないスケジュールですが、それをやるのが歌舞伎役者というものなんですね。勘太郎くんももちろんだけど、昼の部の橋之助さんも相当な奮闘ぶりですよね…

博多座のサイトにはこの3月公演についての記者会見でのおふたりのコメントがありますが、橋之助さんの「さぞかし勘三郎兄さんはうらやましがっていると思いますけど(笑)」という言葉、うれしい、ありがたいひとことでした。

福岡在住のみなさま、近郊のみなさま、近郊でないけど3月そっち方面に行く予定なみなさま、ぜひにぜひに博多座に足をはこんでみてくださいませ。きっと、「あたしゃ勘太郎の団七の初役見たんだよ」と何十年後かに自慢できること請け合いです(笑)私に出来るのは好きなものにたいして対価をはらって実際に足を運ぶこと、それだけです。そうしてもいい、と思ってくださる方がひとりでも増えますように。