なにも言えない

この間の3連休の最終日は「南へ」をもう一回見てきました。開演前に野田さんのナレーションによるあいさつ、そしてwebには掲載されていませんが、この舞台が地震や天災を扱っていること、最後まで見て頂ければ、徒に恐怖心を煽るものではないとご理解頂けると思います、とのアナウンスまで。このアナウンスは野田さんの声だけではなく、劇場側からの案内でも流れました。私企業ではなく、東京都歴史文化財団という公益法人運営のホールだからこそ、野田さんがこの芝居を上演続行させるには、たくさんのハードルがあったことは想像に難くありません。

その野田さんがずっと連載していたAERAの連載を降板したというニュースがyahooのトップにもあがっていますね。

「ひつまぶし」は雑誌を手に取ってまで読むことはなかったですが、野田地図のメルマガで配信されてくるのを読むのは楽しみでしたし、先日発売された単行本も買いました。とても面白い。ぜひ。

ひつまぶし

ひつまぶし

ニュースになっている記事はネットで読んだのですが(ほんとにすごいなインターネットってやつは)、「ひつまぶし」でも何度かそういう話題にふれることもあるけど、ここまでの、もしかしたら作品以上の「怒り」を活字媒体に託したことが、野田さんの感情の振れ幅がいかに大きかったかを指し示しているようにも思えます。いつも自身の「怒り」は作品の中で表してきた野田さんが、と。

しかし、わたしが心配することではないけれど、あまりにもこの「事件」だけが取りざたされてしまうのはこわい気がする。
「南へ」の千秋楽まであとすこし。野田さんは傍から見てもはっきりと足を痛めてらっしゃるのがわかるのだけど、無事千秋楽を迎えられることを祈るばかりです。

「無事千秋楽を迎えることを祈る」、この台詞、いままで何度も使ったことあるけど、今ほど切実に、そう思ったことはなかったかもしれない。