「怪談乳房榎」八月花形歌舞伎

2年前に歌舞伎座勘三郎さんがおやりになったのを見たんですよね。一度は見たいと思っていた演目で、それを歌舞伎座最後の納涼で…と、とっても思い出深い公演でした。

今回、勘太郎くんがそのお父さんの当たり役を受け継いで…ということになったわけですけども、確かにとても頑張ってました、勘太郎くん。でも、去年の四谷怪談のときのようなある種の鮮烈さ、というものはちょっと薄かったかなと思います。この演目自体が、三役の早替えを主眼としているところがあるので、全体を通して見るとどうしても場面場面でぶつ切りになってしまうんですよね。その構成の中では、やっぱりあの勘三郎さんの華というか、「理屈じゃない力」、短距離的瞬発力が必要なのかもしれないなーと。勘太郎くんはどちらかというと長距離的な持久力にすぐれているという感じがあって、それも勿論大きな武器なんですけど、この演目においてはまだちょっと食い足りない部分があったかなあというのが正直な感想です。

とはいえ、早替えというだけじゃない、三役でのそれぞれの立ち居振る舞い、顔つきまでもがらりと変わってしまうのはまったく見事でしたし、相変わらず手の所作は美しいしでうっとりりんしてたんですけどね!ごめんねただのヲタで!

あと、浪江をやったのが獅童さんだったんですけど、役名を呼び間違えたり、小道具の番傘の扱いにあたふたしたり、台詞のタイミングを間違えたりとなんだかふわふわと落ち着きがなかった感がありました…どうしたんだいったい。

しかし、なんだか勘太郎くん見るたびほっそりしていくようでおばちゃんは若干心配じゃよ。いやそんなこと言いながら「手首の細さ萌えー!」とか言ってて申し訳ないんだけどさ(まったくだ)

ちなみに私の後ろに評論家の先生方がずらずらと並んでおられたと思われ、花道での芝居を見るのに振り返ると、そこにはまったく首を動かしていない先生方がいてガチンコ目が合うというこれなんのプレイですか状態だったことをここに記しておきたいと思います(笑)