ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ


裏切りのサーカス」見てきたよ!
なんでこんな立て続けに映画見てるのか自分でもよくわかりません。勢いって大事。
原作はジョン・ル・カレのスパイ小説で未読なんですが、公式サイトで「設定と人物相関図を熟読してから来い」的なことが書いてあってえっそんなに入り組んでおるのですか…と及び腰になったものの、すなおに「必読」というところと人物相関図は見てから行きました。関係図とまではいかなくても、確かに名前は覚えていた方がいいかもしれない。

だらだら見ていても音だけ聴いていれば大抵なにが起こってるかわかる、みたいな映画と対極にあり、猛烈に集中して見ました。あくまでもスパイ映画であってスパイアクション映画ではないです。きわめて頭脳戦。出てくる人物もまさに「いい年をしたおっさん」ばかりで、彼らが声を荒げることもなく淡々と話しているだけなのにどうしてこんなに手に汗握るのか…!みたいなスリルが各所にあります。

ほとんど鉄面皮、といったような「サーカス」(英国諜報部のこと)の面々ですが、彼らがそれぞれ一度だけ、その感情のゆらぎを表に出すシーンがあり、そのどれもがとても印象的でした。私の好きなロス・トーマスの小説にも通じる、あの内面ののぞかせ方はすごく好き。あと仄かに…どころじゃないか、男同士の愛憎、というようなものが根底にあって、その抑えた描写の仕方もすごくよかったです。

ゲイリー・オールドマンは言うに及ばず、コリン・ファースベネディクト・カンバーバッチらがビシィッ!!!っと音がしそうなほどにかっこよくスーツを着こなしており、それだけでもほんとに目の正月。BBC版シャーロックでお馴染みのカンバーバッチは割と出ずっぱりの役で見所満載です。あと演劇クラスタにはお馴染みのサイモン・マクバーニーが政府側の次官をやっているのですが、トーストにバターを塗るだけでこんなにもイヤな感じを出せるものかという芝居を見せているのも見どころかもしれない(笑)ゲイリー・オールドマンはまさに淡々とスマイリーの佇まいを演じているわけですが、いちばん印象に残ったのはカーラとの邂逅を語るシーン。あのシーンの真っ正面からの彼のアップ、あれはちょっとすごいですね。

見終わった後、原作ではどんな風に書かれているのかなー読んでみたいなーと思っていたんですが、こうして見た後時間が経てば経つほどいろんなシーンがフラッシュバックしてきて、もう1回見てみたいなと思わせる力がありますね、これは。