レベッカ・ブラウンを読んでみる

図書館で借りて読みました。ツイッターのRTで紹介されていてすごく興味をひかれたのがきっかけ。

体の贈り物 (新潮文庫)

体の贈り物 (新潮文庫)

若かった日々 (新潮文庫)

若かった日々 (新潮文庫)

小説ではありますが、どこかノンフィクションの色合いも濃い作品です。「若かった日々」は著者の自伝的作品集ということもありよけいにそういう感じがするのかもしれない。
「体の贈り物」は訳者あとがきで柴田元幸さんが書かれていらっしゃるように「末期エイズ患者を語り手とした患者たちとの魂の交流」といったような要約ではすくいきれないものがつまった、むしろ、すくいきれないもの「だけで」できている、といった手触りの作品だったなあと思います。

「体の贈り物」に収められた作品群、最後の「悼みの贈り物」はもちろん、「汗の贈り物」「死の贈り物」、「若かった日々」の「ナンシー・ブース、あなたがどこにいるにせよ」と「煙草を喫う人たち」は特に心に残った作品でした。「ナンシー・ブース〜」は最後の一行まで個人的には完璧といっていい節度と品に満ちあふれていて何度でも読み返したくなります。「煙草を喫う人たち」は数々の煙草の銘柄とともに刻まれている家族の風景が活写されているのですが、個人的には(私も煙草を喫わない人間ですが)喫煙者、というだけで悪魔でも見るような目つきで人を断じる非喫煙者にこそ読んでもらいたいとおもう物語。すばらしかったです。