「日々の暮し方」

活躍著しい小野寺さんの構成・演出作品。やー楽しかったです!原作があることを直前まで知らず、読んでおけばよかったかなーと思ったりもしましたが、しかし原作を知らずに見ても舞台作品としてとても楽しめるものでした。

あの千変万化する動きを見ているだけでも充分劇的で見ごたえあるんですが、差し挟まれる別役さんのテキストと思われる台詞の不条理さがなんともマッチしていました。失踪すると宣言していなくなる男に明日の朝食のための買出しメモを渡そうとする女。1日186回こんなものはもうやめようと思いながらタバコを喫う男。我々は物を所持できないといいながら書類を廃棄する女。人生の伴侶に出会ったときに「日記に書くことができた」と喜ぶ日記マニアの男。

「あらかじめ」でもそうでしたが、ミニチュアをうまく使う舞台美術もよかったなー。本棚がアパートに、アパートが部屋に。そしてあの書類を次から次へ手渡していく振付はまさに小野寺印といったところ。ゴムをうまくつかった立体の出現のさせ方も、どこか宙に浮いたような感覚を抱かせるから不思議です。

そうそう、あのオープニングの音響も印象的です。小さい音が鳴ってるようなのに決して小さい音じゃない。

欲を言えば、こうしたプロセニアムな舞台で見るよりも、青山円形やトラムなど、変形の客席で見たい感じはありましたね。たぶん小野寺さんの舞台って、そう作っていなくても裏から見ても楽しい舞台だと思うんですよ。

デラシネラのメンバーはもちろん、「あらかじめ」でも見事な身体性を発揮していた中山祐一朗さん、今回も素敵でした。1時間15分の上演時間ですががっつり「観た!」という気にさせてくれる舞台。満足。