「The Library of Life まとめ*図書館的人生(上)」イキウメ

(上)は正しくは丸囲いです。おそらくそこまでこだわって決めてらっしゃると思うの、だって宣伝美術が鈴木成一さんだから!チラシもすごくかっくいい。この仕事師!仕事師め!

前川さんの作品はご自身の外部演出から知ったクチで、イキウメ本公演を見るのはこれが2回目。なので、過去「図書館的人生」として上演されてきたものは未見です。自分の中で前川さんの仕事でもっともビビっときたのが「奇ッ怪 其の壱」だったんだけど、そのテイストを思い出させる作品でした。有り体に言えばめっちゃ好み!ってことです。もともとオムニバスが好きというのもあるし、あの世とこの世の端境を書いていながら、オカルトにもファンタジーにもならずどこか「奇譚」ともいうべき手触りのものとして楽しめたのもすごくよかったです。ちょっと村上春樹の「東京奇譚集」を思い出したりして。

図書館的人生、というタイトルの通り図書館が異世界の入り口のようになっている。そこで誰かが読んでいる物語が入れ替わり立ち替わり現れるという構成です。最後にはきちんと環が閉じるように物語が収束していくのもよかった。当日パンフ(ありがたい〜ありがたいよ〜)にはそれぞれの短編のタイトルと役名と香盤表も記載されているんですが、特に好きなのは「青の記憶」「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」「賽の河原で踊りまくる「亡霊」」。

役と役の切り替わり、世界のジャンプが頻繁に起こり、そのたびに役者さんはそれぞれ全く違う役柄で現れるわけですが、外見的なサイン(衣装を変えるとか髪型を変えるとか)は一切なくても世界が移行しているのがちゃんと伝わってきていて、これは劇団の力だよなあと思いました。皆、前川さんの文法がちゃんと身体に入っている感じ。

天井の高さいっぱいまで作られた書棚のセット、その動きも含めて舞台美術も秀逸でした。今回(上)と銘打たれているということは(下)があるということで、その来年5月の(下)には池田成志さんの客演が決定しているそうです。んもー!見らいでか!!