「IN HER TWENTIES 2013」TOKYO PLAYERS COLLECTION

2011年に上演されたものが好評を得て再演ということで、なんで観ようと思ったかはほとんど勘なんですけど、こうした小劇場で短いタームで再演されるというのは一定の評価がつかないとなかなか出来ないだろうなーと思ったから、というのと、あとチラシのデザインがすてきだったので。

一人二役、ではなく、十人一役。20歳になったばかりの自分から、明日30歳を迎える自分まで、10人が20歳から29歳までのそれぞれの歳の「自分」を演じる。中央のソファを10人が半円の形で取り囲むように座り、最初はモノローグで、時にはダイアローグも織り交ぜながらそのときの「あたし」を演じていく。

このアイデアがとにかく突出していて、たとえば21歳の、自分の希望と恋の予感に満ちあふれたモノローグを聞いた後で、だんだんと「現実」と向かい合う25歳のモノローグを目の当たりにしたり、恋に破れて世界の終わりのような気分の中にいる24歳が酸いも甘いも噛み分けた、と言わんばかりの27歳と言い争ったりする様は、それだけで一種劇的です。同じ人間に起こったこと、という枠組みがあるからこその興奮というか。ことに、希望にあふれた台詞と、失望を知っている台詞を組み合わせて対話させる組み方はほんとに巧みで唸らされました。

確かに女性にとって20歳から29歳までというのは激動で、これが30歳から39歳ではこうはならないですし、未来を知ったあとで聞く若さに溢れた台詞の切なさや、逆に「人生これで全部なのか」と思い切るにはまだ早い29歳を、若い自分が後押しするという構図にはぐっとくるものがありましたね。

今まさに20代、という方がこれをどう観るんだろうなあというのが終演後思ったことでした。中にはとても揺さぶられるひともいるんじゃないかなあ。私が29歳の彼女に言葉をかけるとするなら、「走れば間に合う、そう思って走れ」って言いたいかな。