「八月納涼歌舞伎 第一部」

◆「野崎村」
野崎村といえば忘れられないのが(それも「狐狸狐狸」と同じ月なんですが)勘太郎さん(当時)がお光をやった舞台。それまでこの人のこと、特別好き!とかいうわけではなかった(と思う!)のに、このお光がもうかわいうてかわいうて、あのお染がきて心ここにあらず、エアー大根切りやっちゃうシーンとかあまりのかわいさにドキドキして、わたしもしかして、この人のこと好きになってる…?とか思った思い出…。

福助さんのお光を拝見するのは2回目かな。意外と、と言っては失礼かもですが、この純情を結晶化したような役がお似合いになるんですよねえ。とくに髪をおとしてからの後半ぐっときまくりでした。あの土手でふたりを見送ったあと、ふっと数珠が手からこぼれ、それを取る久作…のシーンがほんと一瞬なのに胸に迫るものがあります。

お染の七之助くん、あの一途な感じ、純情が暴走する感じ、はまり役だよねえ。野崎村は観る度に肩入れする人物が違ってくるところもあるんですが、今回はなぜか久松憎しに傾いてしまった(笑)おまえー!おまえがーー!ムキーー!

いつか七之助さんのお染、勘九郎さんのお光で観てみたいなー!というひそかな野望もしっかり胸に秘めております(秘めてねーじゃねーか)

◆「鏡獅子」
勘九郎さんの鏡獅子、1年半前に襲名で拝見したときにも、これからこの人は何度も何度もこの舞台をつとめていくんだろうなあ、と感慨深く思ったことがなんだかもうずいぶん前のことのようです。

でも当たり前だけどやっぱり確実に前に進んでるんだよなあ。特に前シテの弥生は襲名の時よりも柔らかさを感じてすごく好きでした。あとせっかくの最前列だったのでガン見した。そらもうガン見した。本当はもうちょっと後ろの方が踊りを見るにはいいのでしょうが(贅沢言うな−!)(すいません!)でも前には前の楽しみがネ!

後シテの獅子、舞台の上の勘九郎さんの動きのキレはもちろんなんですが、毛振りに入る前の毛先を目で追うところとか、ちょっとうつむいてるときの視線までばっちり見られるのがほんと眼福でした…動きも鋭いけど目線も鋭いのね!私の(違う)勘九郎さんは!と格好良さに震えました。正直後半ずーっと祈りのポーズだった私だ。

今月は日程の前半を勘九郎さん、後半を七之助さんがつとめられるので、できればお二方とも拝見したかったのですが、なかなか地方住まいには難しく。七之助さんは特にこの一部、野崎村から出ずっぱりになるので相当大変だと思いますが遠く名古屋の空から応援しております!